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角川春樹事務所★★★

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貴志祐介はけっこう読んでいます。「青の炎」 「新世界より」「悪の教典」。このへんはかなり上出来。ちなみに「青の炎」は学園もの。「新世界より」はファンタジーSF、「悪の教典」はバイオレンス漫画。

硝子のハンマー」は密室殺人もの。「ミステリークロック」も密室殺人ですが、うーん・・。「罪人の選択」は習作集ですかね、あまり感心しなかった。エッセイ集も一応ありますが、これはもっとすすめません。

読了した当時はたいして評価しなかったものの、あとになって再読してもいいかなと感じるのは「新世界より」と「悪の教典」。とくに「悪の教典」はバカバカしくて楽しく読めます。「新世界より」も再度じっくり読んでみようかという気がする。いろいろ欠点も多いんですが、それを補う魅力あり。

出来不出来はあるものの、総じて好きな作家ですね。たぶん、また新作があれば借ります。

ということで、この新作。去年あたりの刊行かな。ただし書き始めたのはかなり前らしい。たぶん、苦しんだ。

けっこう面白いです。主人公の探偵は「硝子のハンマー」の防犯コンサルタントと称する男と似ているかな。ちょい悪だけど魅力がある。で、相棒の女といっしょに探偵がいろいろ探るんですが、そのテーマが『前世の記憶』。はてはて、うんうん、それで・・・と進むにつれてグチャグチャになって、凶悪日本ヤクザと麻薬カルテルとの狂気闘争とか。血が流れほうだい。ま、、なにを言いたいのか不明。

風呂敷ひろげすぎて最後は作者本人が嫌になってしまっ・・という感じでしょうか。回収できずに放り投げた。もう何言われてもいい・・・。腹を立ててもしかたないですね。けっこう楽しかったです。

連合出版★★★
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「お言葉ですが」の別巻はこれが最後。副題は「本はおもしろければよい」2017年刊。

岡山の田舎(たぶん)に育った著者は、子供の頃からとにかく本という本を読みまくった。時代もあって、周囲に本というものがあまりなかったのです。

面白いから読む。当然といえば当然なんですが、それが違ってきたのは岩波という出版社に出会ってから。岩波は「これこれの本は読むべし」と教える。面白いからではなく、読むべき本だから読む。義務感で読む。読書が自由ではなくなった。

なまじ権威ある指針が示されたので、読書の楽しみが少し減。つまらんことです。だからかな。高島さんの書いたものには常に岩波に対してなんとなく含むところが感じられる。

でもやはり面白いからという理由で読みたいですね。そんなことでつけられた副題でしょう。本の後半はいろんな「面白い本」の紹介です。

そうした本の紹介とは違いますが、「山羊」はなぜ「ヤギ」なのか。この章はややこしいけど面白かったです。そもそもヤギは日本にはいなかった。で、どうして「ヤギ」になったのか。「山」の「羊」とはどういう意味なのか。中国ではどうなのか。かなり頭が混乱するような説明が続きます。短い文章で紹介するのは不可能。説明できないけど楽しかった。

幸田露伴について。ものすごい記憶能力をもった怪物です。昔はこうした巨人がときどきあらわれた。鐘に血をぬることについて寺田寅彦から尋ねられた露伴は、たちどころに脳内の巨大データベースを検索。古今東西、あらゆることころに書かれている。もちろん一言じゃ無理なんで、翌日だったかな、たしか50枚ほどにまとめてアウトプット。

ただし寅彦はそんな古今東西に関心なし。鐘に血をぬると油分が1分子の皮膜になって覆う。それで鐘の響きがどうたらこうたら。それだけの関心だったので、50枚アウトプットは迷惑です。そうした経緯で、露伴の家にこの50枚文書(枚数は適当)が残されたらしい。

内モンゴルについて。最近ウイグルでの迫害(民族ジェノサイド)がニュースになっています。チベットではずーっと前からですね。中国としてはそうした辺境(自治区)がおとなしく「中国国民」になってほしい。中国語をしゃべって、漢字で文章を書いて、宗教を捨てて、共産党をたたえてほしい。

それにしては・・と思い出すのが内モンゴルです。内モンゴルの弾圧とかジェノサイドとかあんまり聞かないなあ。あっちは平和裡に吸収できたんだろうか。

もちろん、とんでもない。接する外モンゴルはソ連下でした。中国とソ連はかなり険悪な仲。で、いったん外モンゴルが攻め込んでくれば、たぶん内モンゴルはまっさきに歓迎・降伏するだろう。だいたいあそこには知識人がけっこう多い()。知識人はいちばん信用できない連中だぞ。

・・というわけで南から漢人農民が進出し()、現地民は知識層を先頭として、どんどこ抑圧。しかし外部に発信するような層が最初に消えてしまっているので、外界にはあまり情報がもれない。インターネットが普及するずーっと前の話だし。ま、そういうことだったろうとのことでした。納得。

なんせ満蒙の地です。ずーっと前から日本化して開けていた。だから危険地域。

このへんのことは中国人作家の「神なるオオカミ」という本でも紹介されていました。内モンゴルに進出する中国農民の感覚では農地拡大・食料増産は国家方針です。しかしその中国方式は草原にまったく適合しません。結果として草原の薄い表土は疲弊し、何百年のバランスを保ってきた緑は消え、遊牧民たちの姿はなくなってしまう。


講談社★★
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勘違いしそうですが、要するに海中生物がいかにして遺伝子を伝え子孫をつくっているかという話です。イワシとかカキとかタツノオトシゴとか。

そもそもは、少し前にBSで知床のミズダコをやっていました。メスのミズダコは産卵受精した卵を巣穴の天井にぶらさげて、1年以上も守り続けている()。暖かい海ならもっと孵化が早いらしいけど、知床の海は冷たい。どうしても時間がかかるらしい。

その場面も面白かったけど、その前のメスオス合体の場面です。なんか「触手を通して精子パックを渡す」とか言っていたような。渡す? うーん、そもそも何も知らないなあ。タコとかイカはどうやって遺伝子の受け渡しをしているんだ。うん、クジラにはペニスがあるらしい。サケなんから産卵した後にオスが精子をまきちらす。では、エビは?

わかったこと。受精の方法は実にいろいろです。信じられないようなスタイルも多い。

要するに、子孫を残すには「オス遺伝子の半分」+「メス遺伝子の半分」という形がいいらしい。ま、多様性の担保ですわな。そのため何をやってもいい。ただし自己増殖では問題多々です。海でも雌雄同体の生物はいますが、自分で自分に・・は極力避ける。相手をみつけ、可能なかぎり自分の♂を相手の♀に、相手の♂を自分の♀に、という体位をとる。難しそうですが、効率はいい。ふーん。

若くて体の小さいうちはメス、大きく成長したらオスになる。そんなサカナもいる。一般論として子供を産み育てるメスは負担が大きいわけです。できることなら自由に遊べるオスになるのがいい。ということでオスは競争が激しい。なかなかオスにしてもらえません。いったんオスになったら、ひたすら種つけにはずむ。

いちばん驚いたのはペニス切り離し戦術をとるタコがいること。メスにくらべて小さいオスは、タイミングをはかってペニス(の役目の触手)をメスをめがけ、ロケット発射する()。ロケットはメスにくっつきます。触手の中に入っているのはたっぷりの精子パック。この発射がオスにとってのエクスタシーなんでしょうね。仕事が終わると、もう用はないのでよろよろ死にます。

そうそう。サケが川をのぼって苦心して産卵するのはみんな知ってますが、あのときズルをするやつもいる。最初からそのつもりで、海に行かず川に残っていた小さいやつです。で、婚姻シーズンになってバタバタドタドタと騒動が始まるとじーっとものかげで待機。絶好のチャンスになるとサーッと突進して、バシャバシャバシャッと射精。大成功! もちろんタイミングを間違うと興奮した連中にふくろ叩きにあいます。

ほんと、いろんな戦術があるんですね。ところかまわずペニスを相手の体に突き刺すやつもいる(どこかに刺して射精すれば、あとは賢い精子が体内を泳いでいってくれる)。オス同士サーベルのように長いペニスで闘うやつもいる(無防備に伸ばしているので、運が悪いと他のサカナに途中を食われたりもする)。ま、人間スタイルなんてのも、ようするに多種多様な遺伝子受け渡し方法のなかの一つでしかないわけです。

ミズダコはその間、なにも食べないそうです。卵の世話をしながらじーっとこもっている。体力が弱っていくにつれて皮膚の色が白っぽくなる。孵化が終わると安心して、穴から漂いだして死ぬ。

不用心なメスはやたら発射されて迷惑。ま、ストックがあっても損はないか‥と(たぶん専用ポケットに)収納してもらえたり。

連合出版★★★
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10巻から連合出版と書いてしまいましたが、実際には11巻からのようですね。つまり10巻までは文芸春秋

この11巻、いろいろありますが「井真成墓誌」と「予言」がメインのようです。「井真成墓誌」は例の中国で発掘された日本人留学生です。

当時、日本ではなんだかんだと推測がなされていましたが、高島さんによるとほとんどが根拠のないデタラメ。みーんな中国語と漢字と日本語の関係を正しく理解していない。だから訳のわからない理屈をこねる。中には墓誌と墓碑を混同している学者もいたらしい。

そもそもこの墓誌、盗掘の結果として出てきたということ、どこかが書いていたかなあ。あとになってバレた。だから埋葬状況の詳細がまったく不明だし、墓誌の一部も(パワーショベルで)欠けている。どっちにしてもあまり大切にされて埋葬された状況ではないらしい。墓誌の文言も実はかなり簡易。やっつけ仕事。

「予言」について。本の後半スペースをたっぷり使って書いています。ごく簡単に言うと、「予言」も「預言」も「豫言」もみーんな同じ字、同じ意味です。「予言」は予想を言うことであり、「預言」は神の言葉をあずかること・・なーんてことはない。

どっかの時点でどっかの人(キリスト教関係者)が「預言」は違う意味だと言い出した。理由は不明。辞書も昔は「あらかじめ」の意味しか掲載していなかったのに、なぜかいつの時代からか「あずかる」も併記しはじめた。そもそも日本の聖書で使っている漢字は、ほとんどが中国(清代)の漢訳聖書のものを流用しています。同じ漢字なんだから当然ですね。

で、中国語(それをコピーの日本語も)では、「預言」は「あらかじめ言う」です。「言をあずかる」という文法はない。え?「銀行預金」があるじゃないか・・というんですが、江戸、明治のころに見られる「預金」は「あずかり金」「あずけ金」と読んでいました。それがいつか「よきん」と読むようになってしまった。理由は不明。

ずいぶん簡潔乱暴に説明しましたが、本書ではもっともっと詳しく書いてあります。高島さんが昔から言っていること(骨子)は「日本では、漢字は外国語だ」ということ。もし当時の日本人の採用したのが漢字でなく英字だったら I love you と書いて「あんたが好きや」と読んだはず。
you(文字) = 汝(文字) = あんた(音) 。同等です。はい。あいにく当時の日本は話し言葉だけで、表記すべき書き文字をもっていなかった。

というわけで、たとえば 撮る 取る 採る 録る・・・を使い分けるなんてのは、まったく無意味。日本ではみーんな同じ「とる」です。ちなみに中国語では、それぞれ違う字であり、発音も違います。違うものを同じ音にした()からややこしいことになった。

日本語はそもそも音韻が少ないんです。
書かなかったけど新井白石の話も面白かった。チョー頭脳優秀で、チョー自慢こき。後半生はあんがい不遇な人生をおくった。


文藝春秋★★★
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この巻9までは文藝春秋が刊行していたわけです。ま、週刊文春の名物連載をまとめたものなんだから当然といえば当然。そしてこの次、巻10からは出版社が変わる()。別に高島さんの都合ではなく、文春側が「出さないよ」と言ったらしい。理由は、公式には不明です。

通読してみると、この頃の高島さん、比較的素直ですね。後年のヒネクレというか敵つくりは、トシのせいもあったんだろうか。けっこう楽しく読める章が多いです。

ちょっと記憶に残ったところ。

騎馬民族説と天皇」。昭和天皇は江上波夫の騎馬民族説がお気に入りで、ときどき電話してきて「皇居に来て話をしろ」と要請した。いや、江上博士がモンゴルで野糞をしながら(上機嫌で)そんなふうなことを言った。自慢した。真偽は不明です。

さすがに天皇がジカに電話はしないだろう。通常は侍従が代理で伝えるでしょう。もちろん現代ではこの説(騎馬民族が朝鮮半島経由で侵攻、九州王朝をつくった。崇神天皇)、完全に)否定されています。みるからにマユツバ説だけど、でもなんか面白い。天皇も寂しくなると、こんな壮大な無駄話をしたくなる。

もうひとつ、最近はまったく普通になってしまった「・・こちらコーヒーになります」とか「・・千円からお預かりします」の類。こんなヘンテコリン言葉がなぜ生まれたのか。

いろいろ調べるとどうもリクルートが元凶ではないか。大昔、リクルートがファミレス相手の接客ビデオをつくった。新人社員教育用ですかね。このビデオにあのヘンテコ接客用語がもりこまれていたという。で、一気に日本中にひろまった。ウェートレスもレジ係も、正しいと信じてるんだから仕方ない

真偽は不明ですが、うん、いかにもありそうな話です。リクルートとか電通とか、いろいろ罪をつくる。

とかなんとか。順不同、自由奔放。いろんな面白い話がてんこもりです。もちろん本筋の漢語とか日本語、本の話もたくさんあります。高島本は他にも2冊借りてるんで、まだまだ楽しめます。

※ 訂正。版元変更は11巻からでした。
※ さすがに「完全に否定」は言い過ぎかな。「ほぼ否定」でしょうね。

NHK出版★★★
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インドネシア、東によったあたりの小さなレンバタ島。その南側にある小さなラマレラという集落の話。オーストラリア大陸にも近く、チモール島のちょっと北になります。

この貧しい海辺の集落は手銛を使ったクジラ漁で有名なんだそうです。物干し竿みたいな長柄の銛をかまえて、壊れそうな舟首から跳躍。なんか日本のテレビでも芸人が出かけていって紹介していたような気がする。

日本だったら和歌山の太地ですか。ただしもっともっと原始的で貧しい。島の北側にいちおう「町」があるけど、そこへいくには夜明け前から山を超えて1日仕事。で、海岸の民はひたすらクジラやマンタ、サメを突いて、処理した肉を日干しにする。日干し肉の一部は山の民との物々交換につかう。サカナと野菜穀物の交換。

ちょっと前までは完全なアミニズムの文化でした。そまつな木製の舟には先祖の霊が宿っている。クジラと闘って壊れたら、可能なかぎり以前の板や綱を使って再建。そうしないと呪われるかもしれない。プレゼントの不文律を破ったりしてシャーマン(の役目を担っている)部族との間にトラブルがおきると深刻です。ヤギの呪い、もっとひどい羊の呪い。悲惨なことになります。だれかがケガをする。海から帰ってこない。

もちろん、こうした村にも近代化、情報化の波はおしよせる。そのうち電波が通じる。若い男女は携帯電話のテキスト通話で恋人とやりとりする。女はドルを稼ぐために遠くの町へいって奴隷的な女中奉公をする。工場に勤める。そしてシャーマンは苦々しい顔をするけど、船外機付きも導入される。

村人はたとえばクジラを突いて、それをたんなる乾燥肉として食べます。クジラもサメもマグロも同等。ちょっと知識のある遠くの島の漁師はマグロを5倍の量のサメと交換しようという。あるいは1本10ドルで引き取ってくれる業者もいる。その10ドルで買ったマグロを新鮮なまま流通にのせれば、果ては数千ドル、日本に輸出されて高級スシネタになる。野心をもった男が情報をつかんで起業をはかる。

ただしほとんどの村民はそうした情報を持ちません。高校まで行ける少年少女はまれ。教育をうけたからといって、抜け出せるとは限らない。失望して戻ってくる青年たちも多い。村には、なにかしらの共同体意識がある。貧しいけれども、多少の幸福感もある。三丁目の夕日ですね。しかし、どうしても、やはり貧しい。

このへん、旧オランダ領、フランス領、いろいろですが、東のチモール島の付近はキリスト教の影響が強くて、カトリックも多い()。司祭がいていろいろ説教したり結婚をつかさどったり、懺悔を聞いたり。結婚前に子供のできる男女も多くて、いろいろ大変。キリスト教と伝統宗教がなんとか折り合いをつけているわけです。住民たちもジョンとかベン、フランシス。洋風名前が一般的らしい。

たぶん、もうすぐ消え去る村落でしょう。クジラを救え!と外からやってくる運動家も多い。そもそもクジラもマンタも魚もこのところ減っています。クジラが減るなんて、漁民たちには信じられない。(まるで、そのうち太陽が昇らなくなるぞ、という話です)

予想したより面白い本でした。

著者は約3年、この村に滞在してはいっしょに過ごした。なるべく現金を使わず、同じ生活をした。舟に乗せてもらうと激しい揺れに嘔吐を我慢できなかった。さんざん笑われたそうです。

隣接した西のバリ島のあたりはヒンドゥー教。もっと西のジャワ島はイスラム教。


先月末の高齢者ワクチン予約は出遅れで失敗だったため、5月から始まった追加枠は真面目にとりくみました。

情報がほとんどなかった市役所のサイトも、日を追うごとに少しずつ掲載量が増えてきました。そうか、週に2回、特定の日の予約を受け付けるのね。朝の9時から開始()ということもようやく明瞭になった。

当日は定刻5分前からPC前に待機。コーヒー飲みながら待って、定刻1秒後からアクセス。それでもバタバタして、たぶん15秒とか20秒くらいはかかったかな。ま、考えていたクリニックと日で予約できました。ただし時刻は先方まかせです。

それにしても、前にも書いたけど決してスムーズに使える予約システムとはいえないなあ。迷う部分が多すぎる。あちこちでトラブルになってるのも当然という感じです。

なぜか受付開始時間が明確じゃなかったんですよね。でもあちこちの傍証で朝9時とは見当つけていました。で、数日前からは予約システムがアクセス不可になり、そのかわり「システムメンテは8時59分まで。9時から予約開始」と明示されていた。やっぱり。

久しぶりの国会中継。午後の参院質疑から見ましたが、うーん・・・・・。
こんなものかと予想はしていましたが、そのレベルを遥かに超えているなあただ 悲惨


勁草書房 ★★★
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あちこちに出した何本かの論文(というべきでしょう)を集めたものです。けっして読みやすい初心者向けではなく、ある程度の知識がある層、歴史に関心ある読者向け。

というわけで、これを簡潔に評することは不可能ですね。

で、面白くて記憶に残った部分。

満州・北支()とズルズル侵攻。そのまま宣戦なしで本格化。これは軍部が汚い、誤魔化しと見るのが通例だったと思いますが()、実はけっこう苦し紛れ。理由は米国の中立法です。米国が「中立」の概念を勝手に変えた

従来だったら中立国はずーっと中立で、どっちの国にも何もしません。でも新方式では、中立国であっても悪の国に制裁ができるようになった。そう、米国が決めたんだから仕方ない。

というわけで、もし日本が中国と公式に戦争を開始すると「悪」ということになり、中立国である米国は財政措置とか輸出入禁止とか、きつい制限をかけてくるはずです。これが非常に困る。致命的。だから日本は中国と「戦争」はしない。すべて「事変」です。

しかし本当に米国が日本に対して容赦ない厳しい態度だったかどうか。このへんは難しそうです。たとえば石油の輸出制限。実はあんまり日本が辛くないように、ちょっと緩いところにリミットを置いてあったり。ただそうした配慮を日本政府は完全に理解していなかったらしい。リットン調査団の報告書のときもそうです。

また、敗戦の後、復員兵たちはけっこうな物資を背嚢に入れて持ち帰った。国内でも下士官クラスが倉庫を破って、どんどんトラックに乗せて持ち出したとか。皇軍の腐敗というニュアンスで語られています。でも実際にはこれは軍上層の方針だったらしい。進駐軍がくればどうせ押収される。それなら事前に分配してしまおう。ただし現実には有償か無償か不明ながら「払い下げ」もかなり多かったらしい。

もちろん兵器なんかはおとなしく提出。しかし提出した武器は米軍の指令下、これまで製造納品していた兵器業者が今度は解体を受け持ち、資材を民用に転換するはず。国力温存。一応はアイディアです。

そうそう。東久邇宮、伏見宮、秩父宮などなど、昭和天皇はあんまり信用していなかった雰囲気がある。実は秩父宮を大臣にという案もあったらしいです()。また天皇が戦争をおさえるために御前会議を希望すると元老の西園寺は反対している。もし会議の決定に従わない連中が出ててきたら天皇の権威に決定的なキズがつくから、というのが理由です。天皇の権威といっても、そう磐石なものではなかった。実際、けっこう言うことが通らなかったりもした。(

別口では、はるか昔の日露戦争。あれ、司馬さんの書き方では皇帝おきにいりのベゾブラーゾフあたりが極東総督アレクセーエフに対日強硬けしかけて、結果的に開戦・・・の雰囲気ですが、実際にはロシア側から戦争回避の動きがあった。和平に至る可能性もあったらしい。ただ少し時期が遅くて間にあわなかった。たぶん司馬さんはヴィッテ(外務大臣だっけ)にひきずられすぎたかな。新資料が出てくると、こうした研究解釈、ガラリと変わります。難しいものなんですね。(

ということで、ザーッとは読んだけど、ザーッ・・だけじゃ無理な本です。もっとじっくり読まないといけませんね。

それにしても・・です。加藤陽子はなぜ学術会議メンバーから外されたのか。こんなふうな地道な論文を官邸周辺の連中、読んでるとは思えないし、なんか初心者向けの本の数行あたりで「加藤という女はけしからん。サヨクか!」とか勘違いしたのか。アベとかシモムラの気にいる学者ではないにせよ、とくに嫌われる要素もないと思うのですが。わからん。あの連中の考えることはわからん。

「北支」が変換で出ない。え?とまず「支那」を出そうとしたけどこれも無理。そうか、使っちゃいけないんだ。そういえば「使っちゃ悪い言葉だろうか」と高島俊男センセがどこかで書いていた。昔、シンタロもそんな趣旨でわめいていたような。

対中国のこの一連の政策や軍事行動、かなり恥ずかしいよなあ・・・と政府中枢も思ってはいたらしい。

もし秩父宮が大臣ということになれば、実質的には昭和天皇の逼塞でしょうね。権力移行。

当然のことながら、天皇もお飾りではなく、けっこう積極的に発言はしています。ただあまり通らなかった。

日露開戦なんかも、臥薪嘗胆だった国民が大歓迎・・という従来説には少し疑問が出ているらしい。

またメガネのレンズが落ちた。使い方が下手なせいか、よく落ちる。

手持ちのセットの中のいちばん細いプラスドライバーを使えばいちおうは締まるけど、そのうちまた緩む。もっとキッチリ締めたいけど、無理するとネジ山をなめて壊してしまうんですよね。

決心してアマゾンで精密ドライバーを注文しました。もっともらしい名前のブランド(VESSEL)で3本セット()。プラスが2本、マイナスが1本でサイズ番号は「+00 」 「 +0 」 「-1.8 」らしい。このうち「+00 」がZoffのメガネのネジに適合するとどこかに書いてあったので信用した次第。800円強。ドライバーにしてはそこそこの値段ですが()、これくらいのほうが信用できます。ドライバー先端の精度(と硬度)ってピンキリなんです。

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商品が届く前日にも、実はレンズがまた落ちた。でも締めたいのを我慢して、軽くはめこむだけで放置。で、到着した新品の「+00 」をさっそく使ってみると、うん、ピタッと合う。力を入れなくても最後までスムーズにキッチリ締まりました。気分がいい

ドイツふうですが、日本のメーカーらしい。
6本セットで400円とか8本で600円とか、安いのが多いです。3本800円強は高級品。

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