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★★★ 文藝春秋
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子供の頃に読んだ冒険小説。ヨーロッパのどこかで暮らすクロマニヨンの話でしたが、その小説では近くの谷にゴリラみたいなのが住んでいる。ネアンデルタール人です。子供心に「そんなバカな」と思っていました。ネアンデルタールとクロマニヨンは完全に入れ代わったんであって、両方が同時代に共存するなんてありえない。まるで恐竜とホモサピエンスが一緒にいるようなもんだ。

ついでですが、なんかで金髪のクレオパトラを見ました(映画だったか小説だったかは記憶のかなた)。これも「アホか」と思ったわけです。クレオパトラはエジプト人じゃないか。黒髪に決まっている。

もちろんどっちも間違ってはいません。クレオパトラが金髪というのは少し怪しいですが、プトレマイオス朝はマケドニアの血筋です。たいていは黒っぽい髪色だったでしょうが、仮に明るい栗色があっても間違いではない。ひょっとしたらもっと明るい色の髪だってあったかもしれない。

また、ヨーロッパのネアンデルタールって、3万年くらい前まで生き残っていたらしい。3万年といったらごく最近ですね。決してクロマニヨン登場で一気に消えたわけではない。もしお互いが憎しみあい、争っていたならこんなに長いあいだ共存することは無理でしょうね。友好的だったか敬遠しあっていたかは不明ですが、とにかく棲み分けしていた、多分。

そう考えると、ネアンデルタールと現世人類(クロマニヨンはその一部)が交雑することがあっても不思議はない。説としては、性徴のあらわれる前のネアンデルタールは現世人類に似ていたともいいます。ネアンデルタールから見ると「子供っぽいやつだな」、現世人類からみると「ごっつい奴だな」程度。仲良くしたのか襲ったのかは知りませんが、ま、子供が生まれることもある。

ということで、現世人類のDNAにネアンデルタールのそれが残っている・・・と実証しようとした学者グループがいる。なんとなく名前だけは知っているマックスプランク研究所の連中で、さんざん苦労して小さなネアンデルタール人の骨からDNA配列を再現。現世人類のDNA配列の何パーセントだかはネアンデルタール由来であることを発表した。ただしアフリカの人類にはこれがほとんどないそうです。

そうした経緯や苦労やら自慢やらを延々と書き綴ったのがこの本です。たいして興奮するようなものではないし、どちらかというと退屈な内容です。ただ通して読んで理解したのは、DNA配列再現という作業がいかに大変なものかということ。最近やたら見聞きする「犯人のDNA」なんかは資料が新鮮なので割合スムーズらしいですが、何万年も前の骨から再現しようとすると、とにかくバクテリアや細菌やらが混じっていてグチャグチャになっている。そして必ず資料に触れた人間のDNAも混入している。空気中の雑菌も入る。

なんと言いましたか、少量の資料を入れてスイッチ押すとどんどん増殖してくれる機械があるらしいですね。前に福岡伸一の本でそのへんを理解したつもりだったんですが、もう思い出せない。えーと、ポリメラーゼ連鎖反応。PCR。たぶんこのPCRはどんどん進化して、なんか凄い金のかかる巨大なシステムになっているらしい。おまけに増殖してもエラーがやたら出るので、信頼性のある配列を決めるには膨大な数の再試行をする必要がある。このへん、適当に書いています。あんまり信用しないでください。よく理解できていないので。

それはともかく。ネアンデルタールの遺伝子が現世人類に紛れこんでいるということは、生まれた子供が現世人類の子供として育てられたということです。そして他の男とか女とかと一緒になって、また子供を生む。はて。

ネアンデルタールと現世人類が近くに住んでいたとした場合、すぐ思いつくのは現世人類の男がネアンデルタールの女を襲ったというケースです。これはいかにもありそうですが、しかしやがてネアンデルタール一族は死滅するので、遺伝子が残るはずがない。逆にネアンデルタールが現世人類の女を襲うとか、あるいは一緒に暮らすとかしないと無理です。一緒に暮らした場合は、妊娠した女が元の仲間のもとに戻る。あるいは子連れで帰ってくる。

なんか変だなあと思いますが、それを解決するのは「中東説」というものらしい。アフリカを出て中東付近をウロウロしていた頃の現世人類は、まだたいして知恵を持っていない。近くにいるネアンデルタールとどっちが優勢とはいえないような状態だった

これなら同等で、お互いに遺伝子交換があっても不思議ではないです。で、その後の現世人類は(ネアンデルタール遺伝子をとりこんだまま)どんどん強くなって増え、薄まってきたアンデルタール遺伝子もある時点から平衡状態になり、やがて何万年かの後、ネアンデルタールを追いやる。あるいはネアンデルタールが自滅する。

なるほど。現世人類は武器を使えて賢い。ネアンデルタールは鈍臭くてアホ。そういう思い込みがあるうちは、ネアンデルタールDNA混入説は受け入れられないけど、同等と考えれば納得可能ですね。ちなみにネアンデルタールも現世人類も、どちらもホモサピエンスと称する説もあるらしいです。この場合、しいて分けるなら現世人類は新ホモサピエンス。


結果論からいうと、いろいろ試行しましたがこのページの出現を防ぐことはできませんでした。タフだなあ。

しかし、ふと気がつけば、もう2週間ちかく見ていない。先方にもいろいろ都合があるんでしょう。

20160830.jpg理由はともかく、出てこなければ問題なし。よかったよかった。もう来るなよ。

★★★★ 講談社
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毛沢東に対する嫌悪に満ちたです。例の「ワイルド・スワン」の著者。つい先日は「西太后秘録」を読みました。

書かれていることはかなり衝撃的です。決めつけがきついなあと思える部分も多々ですが、でも(たんなるカン)8割から9割くらいは真実じゃないかな。もちろん異論をとなえる人はたくさんいるようです。

高校時代、社会の教師は時間が余ると毛沢東を礼賛していました。偉大なる長征とか、国共合作でいかに国民党が卑怯だったとか、共産党兵士は農民から針一本、糸一筋も盗まないとか、理想郷の延安時代とか。いくらアホな高校生でも「ほんとかな」とかなり疑問に思うレベル。

この本で描かれているの毛沢東は野心に満ち、恥を知らない男です。同情とか共感能力が根本から欠如している。恐喝と策略でのしあがり、仲間うちでは巧みな弁舌(というより屁理屈)でライバルを蹴落とす。すべてウソだらけ。スターリンよりすごい。天才ですね。しかも悪運に恵まれた。

延安以降の毛沢東についてはぼんやり知識がありましたが、それ以前のもろもろは初めて知ることが多いです。なるほど、初期の共産党設立期にそうやって目立ったのか。例の長征、ボロボロになって逃げたんだろうとは承知していたものの、それどころではなかった。権謀術数の固まりです。コミンテルンの権威と組織の命令系統を実に上手に利用し、ライバルや兵士を意図的にひたすら殺して地位を築いた

文中、やたら「誰それはスパイだった・・」式の記述が多いのは少し閉口しますが、ま、 西安事件の詳細とか、なぜ強かったはずの国民党軍が簡単に崩れたのかとか、なかなか面白かったです。要するに蒋介石という人間、ちょっと古いタイプで情を大切にした。冷酷果断になれなかった。思い切りが悪い。ナアナア感覚で政府を運営していたから酷い汚職政治がはびこり、支持を失った。

で多くは共産主義の理想に憧れて国民党を見放した。ただしこの時代、党に走った連中はみんな酷い目にあったらしいけど。赤軍派とかISですね。外から見ると、なんか理想的でかっこよく見える。宣伝力。なんせ共産党の根拠地は田舎なので、実情がよくわからないし、で、中に入ってしまったらもう抜けられない。地獄。かなりの連中が抹殺されたらしい。

主席となってからは、なんとか中国を軍事大国にするため腐心した。国民のためにではありません、自分のプライドを満足させるためです。ソ連からせっせと武器を輸入し、軍艦、戦車、あげくは核施設やミサイル。しかし極端な貧乏国なので、代価として農産物を貢いだ

例の大躍進、餓死が蔓延している時代にも、せっせと食料を提供していた。ま、人民がどうなろうと関心なかったので(それなりには合理的な政治思想です)、人民なんて、たとえ半分になっても大問題ではない。放置していればまた増えるだろ、きっと。人が死ぬのはいいことだ。土地が肥える。

そうそう、なんとなく人気のある周恩来も、超有能だけど完全に毛沢東の犬になりさがった哀れな男(何回か抵抗しようとしたが挫折)という評価です。他にも何人か反抗しようとした部下や政治家はいたけど、ことごとく抹殺されている。毛沢東は病的に用心深かった。

不思議な男ですね。ファションとか贅沢に関心はゼロ。風呂はきらい。家族や家庭には無関心。歯は磨かない。全国に専用別荘を作りまくったけど、みんな防御に特化した無粋なコンクート造りで、外観や快適さは無視。自分は京劇が好きだったけど、人民には禁止した。寝ころがって本を読むのが大好きだったけど、人民の本は取り上げた。ダンスと水泳だけは好きで、ただしダンスは夜伽の女を選ぶのに好都合だったから。後年はダンス場の横に連れこみ専用寝室まで用意させた。

正直、読み終えて気分の悪い本でした。それにしても、周恩来、もう1年生かしておきたかった。実質的には毛沢東に殺された(ガンの手術をさせてもらえなかった)と書かれています。


★★★ 光文社
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岩井三四二という作家、「あるじはXX」三部作とか「三成の不思議なる条々」を読んでいます。よく調べていて達者な人ですが、うーん、なんか足りない。あるいはなんか多すぎる。

「光秀曜変」は要するに、なぜ光秀が謀叛したのか、謀叛したあとなぜマゴマゴして後手々々にまわってしまったのかの謎解きです。

信長だったか信忠だったか「光秀のような男が攻めてきた以上、もう逃げ道なんかあるはずない」と諦めたと伝えられています。用意周到、深謀遠慮、それだけ武将として信用があった。しかし現実には、本能寺のあと、なんかやることが鈍い。不思議です。

本能寺のとき、光秀は何歳だったのか。55歳というのが通説みたいですが、実はあまりよく分かってなくて、63歳、67歳なんて説も出てきた。もし60代だったとしたら、いろいろ面白い可能性が出てきますね。もうかなりの年齢だし、ひょっとしたら認知症になりかかっていたのかもしれない。

ま、そういう解釈です。読み終えると光秀がちょっと哀れになってきます。


うーん、ダメでした。いろいろ試してみたけど、それでも出る。

20160830.jpgなんかツールを入れろと書いてあるサイトもありますが、これは危険な匂いがして却下。うっかりするとヤブ蛇になる。

諦めますか。ときどき出現するけど、出るたびに消すしかない。

★★★ 講談社
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ユン・チアンは数十年前ベストセラーになった「ワイルド・スワン」の著者です。清末から改革開放時代まで混乱の中国三代の女性を描いた本でした。たしか祖母が軍閥首領の妾、母が党員、自分は紅衛兵だったかな。

で、この本のテーマは西太后です。たいていの場合は清を混乱に導いたワガママ女、則天武后に匹敵する残忍というふうに描かれることが多いです。こうなると反対の立場から見たくもなるわけで、浅田次郎の「蒼穹の昴」なんかでは、逆に妙に善い人にしてしまって、訳のわからないものになってました。養子である光緒帝にたいする「愛情」とかなんとか、変なコジツケ。

比べると「西太后秘録」の西太后は比較的まっとうです。北京を逃げる際には珍妃を井戸に放り込ませるし、死を覚悟すると光緒帝に毒を盛る。義和団の乱ではミスして反乱側に乗ってしまう。けっこう失敗もしています。しかし全体としては硬直した政治をなんとかしようと努力した。北洋艦隊の予算を流用はしたけど、それほど多額でもなかった。国家を強くするため、果断に改革も実行した。

果断というのは少し違うかな。著者によると、西太后は辛抱強かったらしい。コトを荒立てないように、ジワジワとゆっくり進める。自分に楯突いた政治家でも簡単に殺したりはしないで、閑職に追いやった。主観的には慈悲深い・・というべきなんでしょうかね。かなり卓越した政治家です。

ちなみに「戊戌の変法」の推進者といれわている康有為や梁啓超に対してはかなりきつく書いています。野狐とか、日本のスパイとか。もちろん日本の伊藤博文に対しても厳しい。描かれている日本は明確な意志をもって中国進出を計画してる信用できない国家。ま、清の立場からすればそうか。

それにしても代々の皇帝が揃いも揃って役にたたない。ま、がんじがらめの儒教文化と固陋な宮中システムのせいでしょうね。子供のうちはとにかく女(官女)と宦官(下僕)と爺さん(師)しか顔を見ることがない。皇帝の前ではいかなる者も座ることは許されない。立つかひざまづくか。うっかり立ったまま喋ってしまった通訳がいたけど、手ひどく罰せられたようです。

そうそう、義和団絡みで北京から西安への脱出。西太后も光緒帝も雨の中寒さに震えながらボロボロで逃げた。しかしそんな際でも、次の宿泊予定地の県長にはマニュアル通りの通達が届いている。着るものはナントカカントカで生地は絹のナンカトカで食事は満漢全席で・・・。ムチャです。

県長、指示を受け取らなかったことにしようかとも思ったけど、それでも食えるものをかき集めて鍋3つ分の粥を作らせた。作らせたけど、あっというまに飢えた兵士たちに食われてしまった。鍋ひとつ分だけは必死で守ったそうです。箸がなかったので光緒帝はキビかなんかを削って使った。

ついでですが、西太后は「タマゴが食べたい」と言い出した。これまた県長が指示して、なんとか民家から5コ集めた。茹でたのを西太后が3つ食べたそうです。残った2つは光緒帝にまわした。寒い・・と言うので、仕方なく県長の母のものだった古着を着せた。西太后が漢服を着たのはたぶんこれが最初にして最後。こういう細かい部分がなんとも面白いです。


ブラウザを開くと「本日のラッキーな訪問者はあなたです」なるページに飛ばされる。

20160830.jpg1回だけでなく、何回もしつこく表示。質問に答えると「Streaming Movies」なるものが当たるんだとか。はっ。

検索してみると、前からはびこっているらしい。削除方法がハッキリしないので、仕方なくリフレッシュ(初期設定に戻す)を実行。いろいろ変更した設定がすべて戻ってしまうので、面倒だけど、必要なものは再設定。

とりあえず、リフレッシュしてからは出てこない。みなさん、絶対に騙されないように


・・・と安心してたら、また出た。さて、どうするか・・・

★★★ 東京大学出版会
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著者は霊長類学者。ゴリラの本をたくさん書いていますね。テレビなんかにもよく顔を出します。

で、最近は管理職としての仕事がどんどん増えて、たしか去年か今年か京大の総長になったはずです。本人が喜んでいるかどうかは不明。少なくともアフリカでの現地リサーチなんかやれる立場ではなくなって、たぶんフラストレーションが溜まった。以上はもちろん勝手な想像です。

ということで、現地に行けないのならまた本でも書くか。「家族」というキーワードで最近の定説やら研究成果をずーっと概観してまとめたような一冊です。版元が講談社や文春ではないので、軽易に読める一般啓蒙書ではありません。といって論文でもない。あんまり一般向けのサービスしないで、自分の言いたいことを書いた。ま、そんな感じ。ひたすらサルと類人猿の話です。

したがって内容を簡単にまとめるのは無理ですが、いわゆる「通説」もどんどん変化しているですね。たとえば「人間は狩をすることで脳が大きくなった」説はもう受け入れられない。どっちかというと「脳が大きくなったんで上手に狩ができるようになった」らしい。ではどうして脳が大きくなったのか。

ずいぶん前に読んだ「ヒトは食べられて進化した」という本。つまりマッチョ親父たちに好かれた「Man the Hunter」説はもう人気がなく、「Man the Hunted」説がいまでは定説になっているらしいです。小さなルーシーたちが石で豹を殺したと考えるより、豹に食われないようにおびえて暮らしていたというほうが納得できる。

食われないために集団生活し、言葉を発達させ、共感を高めるために「音楽」を利用した。先日読んだ新聞記事では、ルーシーは木から落ちて死んだ可能性が高いとか。不器用だったんでしょうか。

ちなみに表紙のイメージほど柔らかい本ではありません。騙されないように。

どうでもいいことですが、いわゆる思春期の急速な肉体変貌、あれは脳にもう栄養分を分ける必要がなくなって(それまでは脳の成長が優先だった)、ようやく体の成長に資源を振り向けることができるようになったということらしい。つまり産道の関係で小さな脳(成人にくらべて)で産まれた子供は、まず脳をどんどん成長させる。一段落して、ようやく今度は体の成長。成長というのは「子孫を残せる体」になるということです。

なるほど。思春期に勉強しすぎると体が成長しない・・・という迷信も、あながちウソとは言えないのかな。思春期には勉強なんかしないで、スポーツやりなさい。




★★★ 幻冬舎
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奥田英朗ですから手慣れたもんです。デパートの外商に勤めるナオミと、学生時代から仲のいいカナコ(主婦)。二人がある男を排除(要するに殺す)するお話です。「殺害」ではなく「排除」という言葉を使う。

庶民にとって馴染みのないデパートの「外商」の雰囲気をまず紹介してくれる。なかなか面白い。ついでに在日中国人の女社長(とうぜん、やり手です)との付き合いで、話が発展していく。グジャグジャした夫の実家の事情やら田舎の父母やら、ま、「そうだろうな」というストーリーが続いて、やがて殺人。犯罪そのものは罪悪感なく、あっさり実行されます。

で、小さなテーマになっているのがDV、家庭内暴力です。ん、なんか他の作家にもあったな。荻原浩の「冷蔵庫を抱きしめて」。流行っているんだろうか。奥田英朗と荻原浩、似ています。どっちも達者なストーリーで、読んで損はしない。新刊を発見すると借り出すことにしています。

楽しめる一冊でした。


★★★★ 新潮社
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何十年ぶりかに「戦争と平和」を少しずつ読みましたが、読み進むにつれてストーリーの断片を思い出してくる。

なるほど、たしかアンドレイはナターシャと婚約するんだったか。でも若いナターシャが駆け落ちして、婚約は解消。で、なんやかんやあってピエールとナターシャが一緒になるんだったか。ピエールってのは、何回読んでもイライラする困ったちゃんです。

ボルコンスキー家の不器量なマリアは、たしかニコライ・ロストフと結婚したような。じゃあソーニャはどうなるのか。これが記憶から消えている。そのまま日陰の花のように暮らしたんだったか。で、ロストフ家の長女、空気を読めない長女のヴェーラは、おそらく実際的なベルグと結婚する。たぶん、似合いの夫婦なんでしょう。

そうすると最初のほうで登場したロストフ家の居候ボリスはどうなったのか。これも実際的なしっかり者ですから、それなりに上手に世渡りするのかな。出世して、頑張っている没落貴族の母親を幸せにしてあげる。

貧乏な母親といえば、この小説にはドーロホフという魅力的な悪役がいます。この人の家も貧乏。後半はどうなったんだろう。記憶なし。

それにしても貴族が多い。知識階級=貴族という感じ。貴族でないのは商人か農奴で、こっちは一気に無知階級になる。で、戦争と平和はほぼすべてが貴族階級のお話ですね。ごく一部が農奴階級とのお話。貴族といっても、顕官もいれば貧乏人もいる。ドーロホフなんてのも、なんとなく没落貴族のような印象があります。そうじゃないと、たぶん賭博仲間と付き合ってもらえないでしょうね。

ニコライと軍でいっしょだったデニーソフという士官なんかも、気の迷いでナターシャに求婚してるから、たぶん末端の貴族階級なんでしょうね。で、第4巻では将軍になっている。将軍?と驚きますが、なんか佐官とか将官がすべからく大安売りです。近代的な軍制度が先入観にあると、当時のこうした人事のいいかげんさが理解できません。たしかボリスもすぐ大佐かなんかになってるし。


で、何週かけたんだか、なんとか読み切りました。もちろん著者が延々と繰り延べる愛とか人生とかの長大演説部分はかなりいいかげんな読み方です。1行々々しっかりなんてとんでもない。

思い込みと相違して意外だったこと。まずソーニャですが、容貌について「丸顔」という描写あり。へー、そうだったんだ。細っこいネコ娘かと思い込んでいた。また天然系色男のアナトーリですが、これも後半で「太っている」という描写を発見。なるほどねえ。

それからナターシャは駆け落ち実行犯ではなかった。未遂。しかしソーニャはやはり貧乏籤をひきます。「あだ花」なんだそうです。あっさり、ひどい決めつけだなあ。

総じてナターシャにしてソーニャにしてもアンドレイにしても、もちろんマリアとかニコライとか、完全な人物として描かれている登場人物は一人もいません。みんな狭量な部分もあるし、意地悪だったり自己本位だったり。その代わりエレンとかアナトーリとかイッポリートとか、悪役も案外いい味があるじゃないかと思わせたりする。

読み終わって、やれやれとページを閉じて、なかなか大変だったけど通読できてよかった。こんな本を採点するのは無理があるんですが、ま、★3というわけにもいかない。やはり★4ということになるんでしょうね。それにしてもなぜ著者は「トルストイ」なんだろ。「レフ・トルストイ」ではないんですね。


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