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★★★ 文藝春秋
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高島俊男といえば「お言葉ですが」のシリーズで知られる、非常に達者で明晰で面白くて困った人です。惜しむらく金を稼ぐ才能だけはない。たぶん。

ま、そんな高島センセが「ぼくの好きな文章家・・・」というんだから、読まないわけにはいきません。

10人とは新井白石、本居宣長、森鴎外、内藤湖南、夏目漱石、幸田露伴、津田左右吉、柳田國男、寺田寅彦、斎藤茂吉。いい顔ぶれです。

内藤湖南と津田左右吉に関してはほとんど知識がなかったので、ひたすらヘェー!という内容でした。もちろん新井白石、本居宣長もよくはは知らない。宣長は根幹の一点だけをのぞけばなかなか合理的で話の分かる人だったとか。白石は超天才で超自慢コキだったとか。

さしたるページ数もない新書なので、読み終えるのが惜しかったです。


★★★ 岩波文庫
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4冊を借り出して、そのうち2冊しか読めず。ようやく全12冊の半分。まだ先が長いし、このへんで一休みにします。そのうちまた気力もたまるでしょう。

岩波文庫で巻6の最後は第60話です。宮中の服喪があって屋敷の主だった連中がみんな不在になる。召使たちは鬼のいぬ間と大喜びで、手抜きのし放題かつ問題多発。そこでお嬢様やら食うにゃん 姑娘たちが大活躍する・・・というようなあたりです。

侍女というか、お嬢様近くに仕えている内女中、これがもう少し格下の召使たちからは「姑娘」と呼称されているんですね。クーニャン。ちょっと日本語にしにくい言葉です。ただしこうした召使、みんな元々は奴隷身分らしい。たいてい子どもの頃に金で買われて奉公している。

しかし大きなお屋敷勤めで、主人から信用されているような侍女になると、かなり権威がある。収入もあって、かなり派手に着飾っている。また「ばあや」と訳されている下働きの女中たちをこき使っている様がうかがえます。そんなふうに当時の社会風俗とか仕組みがわかるのもこの小説の楽しさですね。


3月初旬だし平日だし、とうぜんガラ空きだろうと思ったらさにあらず、税務署の建物を取り囲んで数十メートルの行列になっていた。いつもと様子が違う。ザッと1時間待ち。なぜだ?

どうも今年から始まったマイナンバーが問題みたいでした。マイナンバーカードのコピーが貼ってあるか。あるいは番号通知票のコピーと本人証明(これもコピー)がやはり貼ってあるか。そのへんの確認と照合に時間がかかるらしい。構内をプラプラしている爺さんガードマンがそう説明してくれました。行列案内や整理の方法が不親切なんで、怒って帰ってしまう人もいるんだよね・・・とか。

並んでいる人たち、当然のことながら中高年が多いですが、確かにみんなムッとしている。あるいは諦め顔。ずーっとブツブツ文句言ってる夫婦もいるし、後からやってきた爺さん連中、長い列を見るなり観念して引き返すのもいたり。こりゃ、あかん。

マイナンバー制度、ろくでもないことを考えたもんです。どう考えても情報漏洩しそう。きっと失敗する。

うーん、タバコをやめて1週間。禁断症状はさしてないし続けられると思うけど、つまらん。

味気ないなあ・・・と思う今日この頃です。喫茶店にでも行った折、ためしに一服してみたらどうなるんだろ。元の木阿弥になるんだろうか。はて。

★★★ 岩波書店
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興膳宏という人、中国文学者ですか。その世界では有名な人らしい。泰斗。こうぜんひろし。文章は達者で、ほのかな香気があります。

ま、そうした大先生の書いたエッセー集なんですね。主に荘子と杜甫の話

荘子という人、「蝴蝶の夢」とか「轍鮒の急」とか、馴染みの逸話も多々ありますが、著書の中で大胆に孔子をアホあつかいしているので有名らしい。もちろん中国では孔子を叩くのはタブー感覚で、時代によっては酷い目にもあう。したがって正面切って孔子を批判しているのはこの荘子くらいしかいないらしいです。

杜甫については、実はユーモア感覚のある詩人だったんだよォと強調しています。ちょっとバージョンは違うものの、人麻呂のような部分もあるのかな。出世もできず、いろいろ辛い境遇だったけど、晩年の数年だけは少し落ち着いて、奥さんや子どもとの生活も楽しんだらしい。

ま、特筆するような内容でもないし、タイトルは(岩波らしくなく)ちょっと品がないですが、読後感はまずまず。荘子とか杜甫ってのはこんな人だったんだ・・という入門書でしょう。


★★ 草思社
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副題は「人間という動物の進化と未来」。確かではないですが大昔に書いた「人間はどこまでチンパンジーか?」という本を、後になって足したり削ったり再編成したもののようです。どうりで。

ま、人類がどうやって進化したか、なぜ進化したか・・をいろんな角度から書いています。それぞれ、それなりには面白いですが、陳腐というか新事実がない。したがって感動がないです。

ジャレド・ダイアモンドでも、力が入っていないとこんなもんですよ・・という見本でしょうね。データにもけっこう勘違いやら思い込みがあるし。というより、この人「銃・病原菌・鉄」の他にまともな本があるんだろうか。ん、「文明崩壊」はまずまずだったかな。


禁煙4日目。

うーん、時折「吸いたい!」という衝動もあるが、水を少し口に含んだりガムを噛んだり、ま、なんとか切り抜けられそうな気配です。

それよりも「惜しいなあ」という気分。何か良いものを失ってしまった感覚のほうが大きい。喪失感。物足りない。もう二度と、コーヒーを飲みながら紫煙をくゆらす、あの時間を持つことはないのか。

自分で決めたことですが、非常に損をしたような気分です。

岩波文庫の紅楼夢 巻5。第44回ですが、ここで女三人と男一人の派手な喧嘩シーンがあって、なんともかとも。感動。実に秀逸で、笑ってしまった。曹雪芹という人、非常にセンスのある作家であることがわかります。
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◆登場人物。
・女癖の悪い主人・賈璉。
・その若奥様でやり手の熙鳳。
・熙鳳付きの侍女・平児(賈璉のお手付き)。
・鮑二(使用人)の女房=ちょっと色っぽい(たぶん)



誕生日の会で熙鳳は皆に勧められて飲み過ぎ、激しく酩酊。侍女の平児の肩を借りて家の近くまでくると小女たちの動きが不審です。コソコソ妙にあわてている。さては・・・と小女を脅かして(口を裂くとか焼き鏝あてるとか)白状させる。

(1)妻の留守をいいことに亭主の賈璉は鮑二(使用人)の女房を連れ込んでイチャイチャしている。その女房は熙鳳の悪口を言いついでに「あんな主人じゃ侍女の平児も可哀相に」と同情するふり。

(2)外で聞いてカッとした熙鳳は思わず平児を殴る。それから扉を蹴破って躍り込み、鮑二の女房をさんざん殴りとばす。

(3)理由もなくいきなり女主人に殴られて怒り心頭の平児は、(他に相手がいないから)鮑二の女房につっかかる。

(4)平児が鮑二の女房につっかかったのを見て、賈璉は(妻の熙鳳には手を出せないので)平児を蹴りつける

(5)主人筋の賈璉を恐れている平児を見て、熙鳳は腹をたてて平児をさらに殴り、もっと姦婦を殴るように命令する。

(6)進退きわまった平児は頭に血がのぼって思考停止。刀をとって自殺をはかる。

(7)それを見て熙鳳は亭主の賈璉のむなぐらをつかまえてゴンゴンゴン。

(8)わけのわからない状況に逆上した賈璉は、壁の剣をとってスラリと抜く。ヤケッパチ。

(9)あわてて人が集まると、熙鳳は方針変更。ご隠居のところまで逃げてヒーヒー泣き伏す

(10)妻の後を追って抜き身の剣で乗り込んできた賈璉は母やご隠居様にこっぴどく叱られる。

(11)側杖くって怒り狂っていた平児もその後みんなになだめられて機嫌を直す。

(12)翌日、鮑二の女房が首をつったという知らせ。

(13)鮑二の一族が訴えると言ってくるが、ぜったい慰謝料なんか払うなと言う熙鳳。

(14)うんうんと女房をなだめておいて、もちろん賈璉は鮑二に慰謝料払って穏便にコトを収める。

要するに、夫に手を出すなんて論外なんですね。それに比べると妻を打擲するのはまだしもみたいですが、それでもかなり外聞が悪い。だから相手を責めるんじゃなくて召使を叩いたり殴ったりする

殴られた召使もあんまり理不尽だと怒りがおさまらない。でも主人筋には文句を言えないから、同格の相手に向かう。

そして、どうであれこうであれ、目上には絶対服従。父や祖父はもちろん、母親や祖母にもぜったい逆らえない。いい歳の息子が厳しい親に死ぬほど叩かれるなんて日常茶飯のようです。



うーん、困ったことにこのところ腰が痛い。ずーっと座っていて立ち上がるとギクッとくる。下手すると、座っていて腰をズラすだけでもギクッ。

なんやかんや試行錯誤の末、だらしない姿勢で腰掛けていると痛みだすことが判明しました。背筋を伸ばして、要するに背筋に力を入れていれば比較的安定する。立っている場合も痛みはあまりありません。すべて姿勢にかかっている。

根本的な問題は、やはり運動不足でしょうね。仕方ない、少し散歩でも始めるか。春になって、もう少し暖かくなったら始めるか。うん、そのうち。

★★★ 岩波文庫
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読めるかどうか不安でしたが、なんとか文庫全12冊の4巻まで終えました。すごく面白いというほどではないですが、もう飽きた・・でもない。やはり続く巻も借り出してみますか。

時代は清朝の中期。たぶん乾隆帝の頃でしょう。場所は北京とも南京とも不明で、あいまいになっています。ま、さしさわりの問題。

主人公の宝玉は名門貴族の御曹司で、おそらくまだ12~13歳なんですが、軟弱な坊ちゃんです。小説読んだり詩をつくったりはするけど受験勉強は大嫌い。根っから女の子たちが大好きで、きれいな着物を着たり装身具に凝ったり、小奇麗な女中にまとわりついて口紅を食べたり。それでも可愛いから許されている。

お屋敷の形式的な実権者であるご隠居婆ちゃまは孫を猫っ可愛がりに甘やかしている。しかしさすがに父親は厳しいので、なるべく寄りつかないようにしているわけです。(儒教の中国、親の権威はすごい。場合によっては死ぬほど笞で殴られる)

ま、そういうお屋敷にいろいろ理由があって12人の美人(といっても大部分はローティーン)がうろうろしている。寄ってたかって遊んだり食べたり詩をつくったり花をむしったり、毎日をぷらぷら暮らしているわけで、ま、ひたすらそうした描写で全編が埋められている雰囲気です。そうそう。ここに多数の侍女や女中たちも絡んでいつも笑いさざめいています。幹部クラスの侍女は給金が銀子一両。粗末扱いの親戚には月額銀子二両とか三両。実はこんな細部がけっこう面白いです。大きな出費をする場合にはきちんと割符に書き込んで、それを表の経理部に提出して出金してもらうとか。

いまのところ、とくに深刻な事件は起きていません。可愛い少女とたわいなくケンカをしたり仲直りしたりしている程度。そうですね、源氏物語から深刻な恋愛を抜いたようなもんでしょうか。源氏なら歌のやり取りですが、こっちでは何かというと五言とか七言とか詩が披露されます。このあたり味わいがこの本の神髄なんでしょうね。

訳者の松枝茂夫という人が柔らかく砕いているので、全体にけっこうすんなり読めます。ちょっと卑俗な印象の言葉も交わされますが、ま、そんな感じなのでしょう、きっと。

いまのところ、当方の贔屓は「王熙鳳」です。口八丁手八丁で気の強い若奥様。屋敷の内向きを切り回している。惜しいかな、ちょっと品はない。でもこういう人がいないとうまく運営できないです。このお屋敷、栄華をほこっていますが、内実はかなりボロボロになりかかっているようで、きっとそのへんが中盤後半になると露呈するんでしょうね、きっと。


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