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岩波文庫の紅楼夢 巻5。第44話ですが、ここで女三人と男一人の派手な喧嘩シーンがあって、なんともかとも。感動。実に秀逸で、笑ってしまった。曹雪芹という人、非常にセンスのある作家であることがわかります。
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◆登場人物。
・女癖の悪い主人・賈璉。
・その若奥様でやり手の熙鳳。
・熙鳳付きの侍女・平児(賈璉のお手付き)。
・鮑二(使用人)の女房=ちょっと色っぽい(たぶん)



誕生日の会で熙鳳は皆に勧められて飲み過ぎ、激しく酩酊。侍女の平児の肩を借りて家の近くまでくると小女たちの動きが不審です。コソコソ妙にあわてている。さては・・・と小女を脅かして白状させる。

(1)妻の留守をいいことに亭主の賈璉は鮑二(使用人)の女房を連れ込んでイチャイチャしている。その女房は熙鳳の悪口を言いついでに「あんな主人じゃ侍女の平児も可哀相に」と同情するふり。

(2)外で聞いてカッとした熙鳳は思わず平児を殴る。それから扉を蹴破って躍り込み、鮑二の女房をさんざん殴りとばす。

(3)理由もなくいきなり女主人に殴られて怒り心頭の平児は、(他に相手がいないから)鮑二の女房につっかかる。

(4)平児が鮑二の女房につっかかったのを見て、賈璉は(妻の熙鳳には手を出せないので)平児を蹴りつける

(5)主人筋の賈璉を恐れている平児を見て、熙鳳は腹をたてて平児をさらに殴り、もっと姦婦を殴るように命令する。

(6)進退きわまった平児は頭に血がのぼって思考停止。刀をとって自殺をはかる。

(7)それを見て熙鳳は亭主の賈璉のむなぐらをつかまえてゴンゴンゴン。

(8)わけのわからない状況に逆上した賈璉は、壁の剣をとってスラリと抜く。ヤケッパチ。

(9)あわてて人が集まると、熙鳳は方針変更。ご隠居のところまで逃げてヒーヒー泣き伏す

(10)妻の後を追って抜き身の剣で乗り込んできた賈璉は母やご隠居様にこっぴどく叱られる。

(11)側杖くって怒り狂っていた平児もその後みんなになだめられて機嫌を直す。

(12)翌日、鮑二の女房が首をつったという知らせ。

(13)鮑二の一族が訴えると言ってくるが、ぜったい慰謝料なんか払うなと言う熙鳳。

(14)うんうんと女房をなだめておいて、もちろん賈璉は鮑二に慰謝料払って穏便にコトを収める。

要するに、夫に手を出すなんて論外なんですね。それに比べると妻を打擲するのはまだしもみたいですが、それでもかなり外聞が悪い。だから相手を責めるんじゃなくて召使を叩いたり殴ったりする

殴られた召使もあんまり理不尽だと怒りがおさまらない。でも主人筋には文句を言えないから、同格の相手に向かう。

そして、どうであれこうであれ、目上には絶対服従。父や祖父はもちろん、母親や祖母にもぜったい逆らえない。いい歳の息子が厳しい親に死ぬほど叩かれるなんて日常茶飯のようです。



うーん、困ったことにこのところ腰が痛い。ずーっと座っていて立ち上がるとギクッとくる。下手すると、座っていて腰をズラすだけでもギクッ。

なんやかんや試行錯誤の末、だらしない姿勢で腰掛けていると痛みだすことが判明しました。背筋を伸ばして、要するに背筋に力を入れていれば比較的安定する。立っている場合も痛みはあまりありません。すべて姿勢にかかっている。

根本的な問題は、やはり運動不足でしょうね。仕方ない、少し散歩でも始めるか。春になって、もう少し暖かくなったら始めるか。うん、そのうち。

★★★ 岩波文庫
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読めるかどうか不安でしたが、なんとか文庫全12冊の4巻まで終えました。すごく面白いというほどではないですが、もう飽きた・・でもない。やはり続く巻も借り出してみますか。

時代は清朝の中期。たぶん乾隆帝の頃でしょう。場所は北京とも南京とも不明で、あいまいになっています。ま、さしさわりの問題。

主人公の宝玉は名門貴族の御曹司で、おそらくまだ12~13歳なんですが、軟弱な坊ちゃんです。小説読んだり詩をつくったりはするけど受験勉強は大嫌い。根っから女の子たちが大好きで、きれいな着物を着たり装身具に凝ったり、小奇麗な女中にまとわりついて口紅を食べたり。それでも可愛いから許されている。

お屋敷の形式的な実権者であるご隠居婆ちゃまは孫を猫っ可愛がりに甘やかしている。しかしさすがに父親は厳しいので、なるべく寄りつかないようにしているわけです。(儒教の中国、親の権威はすごい。場合によっては死ぬほど笞で殴られる)

ま、そういうお屋敷にいろいろ理由があって12人の美人(といっても大部分はローティーン)がうろうろしている。寄ってたかって遊んだり食べたり詩をつくったり花をむしったり、毎日をぷらぷら暮らしているわけで、ま、ひたすらそうした描写で全編が埋められている雰囲気です。そうそう。ここに多数の侍女や女中たちも絡んでいつも笑いさざめいています。幹部クラスの侍女は給金が銀子一両。粗末扱いの親戚には月額銀子二両とか三両。実はこんな細部がけっこう面白いです。大きな出費をする場合にはきちんと割符に書き込んで、それを表の経理部に提出して出金してもらうとか。

いまのところ、とくに深刻な事件は起きていません。可愛い少女とたわいなくケンカをしたり仲直りしたりしている程度。そうですね、源氏物語から深刻な恋愛を抜いたようなもんでしょうか。源氏なら歌のやり取りですが、こっちでは何かというと五言とか七言とか詩が披露されます。このあたり味わいがこの本の神髄なんでしょうね。

訳者の松枝茂夫という人が柔らかく砕いているので、全体にけっこうすんなり読めます。ちょっと卑俗な印象の言葉も交わされますが、ま、そんな感じなのでしょう、きっと。

いまのところ、当方の贔屓は「王熙鳳」です。口八丁手八丁で気の強い若奥様。屋敷の内向きを切り回している。惜しいかな、ちょっと品はない。でもこういう人がいないとうまく運営できないです。このお屋敷、栄華をほこっていますが、内実はかなりボロボロになりかかっているようで、きっとそのへんが中盤後半になると露呈するんでしょうね、きっと。


安倍の訪米が朝貢外交だという声が上がっているようで、ま、その通りではあるでしょうね。強いものに頭を下げてご機嫌をとるのは昔も今も常道です。

「朝貢」。アナウンサーが明瞭に「ちょうこう」と言っています。ん、なんか違和感。これって「ちょうけん」じゃなかったのかな。

奥さんの顔を見たら、同じように変な顔をしている。やはり「ちょうけん」と思っていたらしい。気になって「ちょうこう」を辞書をひくとある。ただし「ちょうけんともいう」という記述はない。大辞林でも同様。ずっしり重い「日本国語大辞典」の第13巻でもやはり「ちょうけん」の見出しはありませんでした。

不思議だなあ。二人そろって同じ勘違いをするということがあるんだろうか。ある特定の一時期「朝貢」を「ちょうけん」と読ませた日本史教科書があったんだろうか。

疑問はまだ解決できていません。

なぜか「紅楼夢」を読み始めました。岩波の非常に古びた文庫です。第1巻なんて背表紙が壊れかかっている。図書館の受付姐さんに「古い本ですね」と言ったら「はい、古いです」と返事がかえって来た。えーと、1972年の発行だから45年前の本。中のページも色が変わってボロボロになりかかり。取り扱いに注意が必要です。
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事前に持っている知識としては、たぶん良家の坊ちゃんと嬢ちゃんがイジイジ恋模様の長い長いお話。金瓶梅ほど露骨ではなく、よくいえば文学性・情緒がある、たぶん。

文庫で12冊のはずですが、さすがに一気に読めるとは思えません。それでも念のため4冊まとめて借りました。どーかな、読めるかな。

はい。今のところなんとなく行けるかな、行けそうかも・・という雰囲気。まだ最初の冊を読み切っていませんが、予想より面白い。松枝茂夫という人の訳で、文体はけっこうくだけています。はて、期限までにどれだけ読めるか。人名が多くて関係がややこしいので、メモを作らないとグチャグチャになりそう。

この歳になって初めて紅楼夢を読み始めるなんて酔狂な人間、いるんですかね。


★★ PHP研究所
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書名は知っていましたが、実際に読むのは初めて。維新後、長岡藩の家老の娘が、結婚を機に米国へ渡り、受洗し、子供を産んで育てる。亭主が死んでいったんは帰国するものの、いろいろあってまた再渡米。おそらく友人に勧められて本を書く。ベストセラーになったそうです。

なるほど。きれいな文章で故国のこと、父のこと、文明開化のこと、米国文化と日本文化の衝突や比較などなど。米国人が喜んだ理由は理解できますが、要するにエキゾチズムを満足させただけでしょうね。内容はさして深みもなく、あまり感心しませんでした。

いかにも欧米人が想像する「東洋の心」「不思議な日本」「サムライ」「切腹」が満載です。喜ばれそうなことばっかり書いている。違いはありますが例の「王様と私」的な覗き見趣味の視点。

詳細は知りませんが、友人のアドバイスや添削もあった様子です。売るためにちょっと迎合、あるいは遠慮した印象。

読んで損はしませんでしたが、ま、そういう本でした。ちなみに「悪意の人」はまったく登場しません。みんな善人で理解にあふれて優しい。


★ 青志社
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著者は政治秘書かなんかの経験者、たぶん。だから政治家がどう考え、どう動くかについては自信をもっているのでしょう、たぶん。

「田中角栄の青春」だなんて、ずいぶんダサいタイトルで、通常は借りない本なんですが、実は以前から角栄の若いころについては関心がありました。田舎から出てきた高等小学校卒の青年がどうして若くして材木工場だったか建設会社だったかの経営者になれたのか。その最初のステップを書いたものを読んだことがない。

成功した企業家とか経営者とか、一念発起してから数年の間、ひたすら苦労というストーリーがよくあります。製品を試作してみたけどまったく売れなかった。しかし苦節3年、ついに売れ始めた・・・とか。

その3年間、どうやって凌いだのか。どうやって資本を繋いだのか。奥さんが働いたのか、誰かが資金を貸してくれたのか。泥棒したのか。このへんがモゴモゴあいまいなケースがほとんどですね。そして功成り名を遂げた社長は、そんな昔の話をけっしてしない。

で、田中角栄。いままでいろんな説を読みましたが、いちばん面白かったのは「日中国交回復日記」の王泰平の説。あくまで「噂話」という前置きだったと思いますが、ようするに角栄は木材だか建設だかの会社に採用された。若いけれども非常に優秀でやり手。やがて会社の社長が出征することになり「留守のあいだ、すべてお前にまかせる。よろしく頼む」と言い置いた。

二つ返事で引き受けた角栄青年は会社をしっかり切り回し、ついでに社長の奥さんまで切り回してしまった。やがて戦地から戻ってきた社長はあきれ返って、こうなったら会社も女房もお前にくれてやる!と身を引いた。奥さん、家付き娘だったのかな。それなら話が通ります。以上、非常に面白い説でした。(ただしこれを北京日報記者の王泰平は周恩来に報告した可能性もあり、信用していたかもしれない)

とかなんとか、雑談でした。そうそう。この「田中角栄の青春」での筋書きは平凡で、当時から強大な力をもっていた理研にすり寄ってコネを作り、そこから軍の仕事を請け負って莫大な利益を出した。そして敗戦のドサクサを上手に切り抜けて資金を確保。そして巨額を貢いで公認を受け、立候補もさせてもらう。ま、そんなふうな話でした。精力的で非常な運にも恵まれた中小企業主の出世物語でしかありません。

角栄本人も「運」を信奉していたらしいですね。人間、60%は運次第。いやいや90%かもしれない。

★★★ 講談社文庫
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何回目かな。最近は通して読んだ記憶がないのでけっこう間があいたのかもしれないです。全5冊。

この文庫は新庄嘉章訳。高校の頃に読んだのはたぶん山内義雄訳でしょう。新庄訳はかなりこなれています。実を言うと初めて読んだのはたぶん小学6年か中学1年か、家の袋戸棚から引っ張りだした黒岩涙香訳。訳というか翻案というか、要するに「岩窟王」です。読めない漢字ばっかりでしたが、ルビがついていたのでなんとかなった。ただしナポレオンの「奈翁」はずーっと「なおれん」と勘違いしていた。ルビが小さかったのかな。

ふと思い出しましたが、たしか「後の岩窟王」という続編もあった。悪の権化ダングラールがしぶとく復活して、落ちぶれたダングラール夫人がなぜかメルセデスに嫉妬して(自分だけ上品ぶってて嫌いよ、殺してやる!)、アルベールはアルジェリアで拳銃片手に大活劇。子供心にもひどい筋だなあと思いました。確信はありませんが、たぶんこれも黒岩涙香でしょう。涙香、達者な人ですがさすがに作家としては二流だった。

おそらく10回以上は読んでいるので話の展開はだいたい覚えていますが、意外だったのは最後のダングラール監禁絶食イベント、好きだった部分ですが思ったより枚数が少ない。もっとじっくり描かれていると思った。

そうそう。細かいことですがやはり最後の最後、モンテクリスト島に上陸する傷心のマクシミリアンが、周囲の静止もきかず舟から波打ち際に飛び下りる。腰まで濡れた。こりゃ大変、着替えなくちゃとか伯爵が言ったものの、その後に履き替えた様子はない。濡れたままでソファに腰掛けて毒を飲んだことになります。デュマがコロッと忘れたんでしょう。デュマという人、細かいことはかなりいい加減です。

今回、初めてフェルナン裏切りのキーワード「ジャニナ」を調べました。ギリシャのどこかだろうとは分かりますが、いったいどのへんか見当もつかなかった。えーと、現代では「ヨアニナ」とか「イオアニナ」とか称する場所らしいです。ギリシャ北西部、アルバニアに近くて、ちゃんと湖もある。で、エデの父親のアリ・パシャ(アリ・テブラン)も実在の王で、ギリシャ北西部からアルバニアのあたりに勢力をもっていた。

詳細はわかりませんが、たぶんオスマントルコの支配下だったのに、だんだん独立の気配を見せてきた。で、トルコが我慢の限界になってアリ・パシャを暗殺。ギリシャ独立戦争の経緯の中ではけっこうおおきな出来事だったようです。そもそもアリ・パシャはアルバニア人領主だったという話もありますが、そうすると「ギリシャの姫エデ」もアルバニア王女になってしまう。ちょっと雰囲気が違いますね。(エデのスペルを調べたら、最初に発音しないHが付き、アルプス少女のハイジと同じ系統でした。王女ハイジ)

ちなみにこのギリシャ独立戦争とか第一次大戦のあたり、逆にトルコ側から見るとまた面白い。以前、やたら分厚いケマル・パシャの伝記(トルコ人作家の書いたもの)を読んだことがあり、こっち側からするとギリシャってのは困った連中扱いです。弱いくせにやたら反抗する。もちろん西欧視点では「気高い民族がオスマンの圧政に抵抗」というストーリーになります。ま、いろいろ。

数年前「モンテクリスト伯の資産」というエントリーをアップしたことがありますが、今回読み通してもお金の価値があいまいですね。やけに多いこともあるし、少ないこともある。しがない腕木通信の信号手の給料が確か1000フラン。もし1フラン=1000円なら1000フランは100万円。小さな住まい付きとはいえ100万円は少し安すぎる。

で、伯爵が買収に使った額がたしか2万5000フラン、そのうち5000フランで土地付きの家を買い、残りの2万フランで年1000フランの金利と提案しています。つまり1フラン1000円なら、土地と家が500万円、2000万円を預金して金利が年100万円。

庶民の暮しのレベルと、貴族たちが奢侈品に使うものの価格はまったく別物と考えたほうがいいのかもしれません(ダングラールが最後に残してもらったのは5万フラン。5000万円です)。こうした物価の推測、非常に難しいです。

(よく江戸時代の物価例としてソバが十六文とかいいますが、当時の外食はそこそこの贅沢だったかもしれない。現代の立ち食いソバ300円から類推すると大きく食い違ってしまう可能性がある。難しいです)


米国の国防長官が韓国・日本を来訪していました。ジェームズ・マティス。元海兵隊の勇猛果敢な大将。Mad DogとかWarrior Monkとか言われているんだとか。

いろいろとアベっちの耳に快い話をしてさっさと帰国したようですが、なんか従来の国防長官とは肌合いが違いますね。妙に白黒をハッキリ言いすぎる

国防長官といっても「政治家」であり「外交官」ですから、たいていはアイマイな表現で話します。後で文句言われても誤魔化せるような言い方。ま、当然だと思います。しかし今回のマティスの言い方にはアイマイな部分が非常に少ない。

スッキリしていいんですが、反面、かなり危険でしょう。「政治家・外交官」ではなく「軍人」として物事を理解しているように映る。もし軍人として必要と感じれば他国との武力衝突もまったく躊躇しない人かもしれない。あるいはあくまで真っ直ぐに行動しようすると、トランプと対立するかもしれない。

どうなるか知りませんが、なんか危惧を感じます。早々にクビになる可能性のほうが高いかな。

今年の大河ドラマからは早々に退散したので、今のところ「けっこう楽しみ」と感じるテレビはTBSの連ドラ「カルテット」だけです。たまたまチャンネルを選んだら松たか子・満島ひかり・高橋一生・松田龍平と達者な役者が揃っていて、何より脚本が素晴らしい。坂元裕二という人らしいです。

この4人がたまたま出会い、冬の軽井沢の別荘に泊り込んで合奏練習をする。どうしてそうなったかは、いろいろ複雑そうです。まだ詳細は明かされていません。

セリフのやり取りもかなり感覚的なんですが、実は理詰め。ちょっとよそ見すると大きな部分を逃がしてしまうようなつくり方です。面白いけど、実はかなり疲れる。大人のドラマという感じですね。案の定で、視聴率は10%に届いていません。
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ま、しばらくは楽しめるものができた。けっこう喜んでいます。


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