そうか。切手が値上がりだった。
諸般の事情、上げるのはともかく、定型が110円か・・・。110-84=26。差額の26円分をなんとか追加しなければならない。
とりあえずは取り置きの古い年賀の景品とか1円切手とか、ペタペタ間にあわせたけど、ええい、腹が立つ。汚い。みっともないなあ。
もちろん26円切手は発売になっているらしいですが、ただ、下手すると買い込んだその「26円切手」が余ったりして。余ると非常に使いにくい中途半端な額です。
よりによって。
だいたいは真面目に書くつもりだけど・・ ・・たまには遊ぶかな。たぶん。いいトシこいたオヤヂです。みんろく。
そうか。切手が値上がりだった。
諸般の事情、上げるのはともかく、定型が110円か・・・。110-84=26。差額の26円分をなんとか追加しなければならない。
とりあえずは取り置きの古い年賀の景品とか1円切手とか、ペタペタ間にあわせたけど、ええい、腹が立つ。汚い。みっともないなあ。
もちろん26円切手は発売になっているらしいですが、ただ、下手すると買い込んだその「26円切手」が余ったりして。余ると非常に使いにくい中途半端な額です。
よりによって。
文芸春秋 ★★★★
まだ学生だったころの北杜夫が「斎藤家には変わった人間が多いから」と話した。ま、これが後の『楡家の人びと』になるわけですが、それを聞いた同じ文芸首都の同人、佐藤愛子は「佐藤家のほうがよっぽど変な人間が集まっている」と思った。
佐藤家というのは佐藤紅緑です。もう知らない人が多いかな。『ああ玉杯に花受けて』とか、今となっては古くさいけど熱血野球小説とか、少年倶楽部なんかを中心として大活躍した。大流行作家でした。知らんかったけど脚本も書いて一座も持っていたらしい。多才。
で、その佐藤紅緑(本名は洽六)が若い女優志望の女に惚れてしまう。これが通常の恋なんかではなく、なんというか宿命的で強引で大迷惑な恋です。女は好かれてちっとも嬉しくない。でも別れられない。すげない態度なんかとると熱血の洽六は卒倒してしまう。本気なんです。そのうち、子供もできる。もう一緒になるしかない。
で、無理やり離縁の前妻が生んだ子供たち。これがそろいもそろって、とんでもない不良。あるいは無気力。無責任。あるいは大嘘つき。本人の責任なのか、親がいけなかったのか。
ただ同じワル連中でも長男の八郎だけはなんというか才能があった。大酒飲みで狂的な女好きで氷のようなエゴイストなのに、機嫌がいいときは思い切ってサービスもするし、機関銃のようなしゃべくりは抱腹絶倒(※)。甘ったるくセンチメンタルな詩を書く。感動させる力がある。つまり、サトウハチローです(※)。
で、要するに佐藤家には呪われた血が流れているんではないか。愛子の表現では「荒ぶる血」。この血は濃い。ハチロー以外の洽六の子は酒と女と無気力と薬で身をほろぼす。洽六が芸者に生ませた子さえ、やはり年経るにつれて壊れていく。
子だけでなく、孫の代も同じ。男の子はみーんな崩れる。持ちこたえたように見えても、やがて崩壊する。
かかわりあった女たちもそうですね。それぞれに関係あった何人、何十人の女たちも耐えきれず壊れる。少数,、気丈に生き残った女たちだけが生き残る。生き残るけれども、なんか変る。おかしくなっている。疫病神たちとの生活、常人には無理なのかもしれない。佐藤家は特殊な一族です。
愛子は気にもしないで生き残ったクチです。そして洽六とハチローと愛子だけが、世に認めさせる文才があったんでしょう。ただし文才があったからといって正常とは限らない。正常ではないかもしれないが、少なくとも負けない勝手さ強引さがあった。
愛子が戦前に結婚していたとは知りませんでした。陸軍主計士官。子供も産んでいます。ただ佐藤家にからむような男たちの宿命・運命で、戦争中に薬物中毒になる。復員してからも治らない。結局は離婚。
愛子が次に結婚したのが文芸首都の同人仲間だった田畑麦彦。これが能天気な事業失敗で巨額の負債をつくり、それを意地になって返済したいきさつが『戦いすんで日が暮れて』です。直木賞。佐藤家の女とからむ男たちは、やはりかなり異常ですね。田畑も不思議な人物。男が徹底的にだらしないと女は強くなるしかない。だから愛子は強くなって、生き残った。いまは100歳か101歳か。
愛子は強くなったけれども、怒りをエネルギーにしていて、やはり困った存在ですね。つまりは洽六とハチローと愛子の三人だけが佐藤家の選抜組。あとはみーんな濃い血に負けた。
12年かけて書いた本だそうですが、全3巻。それぞれが600ページ前後あります。重いです。中身もずしっと重い。登場人物は実名。本の最初のうち洽六がやたらと「福士は何しとる」とどなるシーンが多い。役にたたない走り使い。これが詩人の福士幸次郎だった。
天使のように好人物の福士(※)以外、あとは洽六の周辺でウロウロする居候やら友人やら付き合い先やら親族やら、有名無名、良く書かれているケースは少ないですが、みーんな実名で登場します。いまの時代じゃこの小説、無理だっただろうなあ。訴訟が20件や30件は発生します。もっと多いかな。
非常に疲れるけれども、面白い本でした。佐藤家に生き残った怒れる鉄の女、佐藤愛子、です。
※戦後、辰野豊のすすめで徳川夢声、サトウハチローの三人が天皇陛下のご機嫌伺いをした。つまりは笑談・雑談のひととき。すごい三人組です。天皇は心の底から大笑いし、ハチローは父・洽六に報告して土産の恩賜のタバコをプレゼント(※※)。病床の臣・洽六は感涙にむせんだそうです。
※ハチローは「話の泉」の常連だった、とある。そうだったかなあ。思い出すのは石黒敬七とか長崎抜天とか。・・・ん、これはとんち教室。混同しちゃいかん。(「話の泉」は堀内敬三、山本嘉次郎、渡辺神一郎・・・記憶がぼんやりだなあ)
※福士幸次郎はいつも洽六に尽くした。人間とは思えないほど善意の人。もちろん徹底的に無能。詩人を執事代わりにしちゃいかんです。
※※「それにしても不味いタバコだぜ」と付け加えた。こういうところがハチロー。
永遠かとおもうほど続いた酷暑。ベランダはずーっと炎熱地獄でした。日差しに加えて、遠慮会釈なくエアコンの熱風が吹きつける。朝から夜まで。
鉢植えはみーんな瀕死状態でした。とくにまだ体力のないチェリーセージが危ない。あんまり日差しの強そうな日は鉢を日陰に移動させましたが、日陰といったって同じベランダです。熱風がまわって吹き荒れる。ごめんな。
で、育ちの悪かった赤セージがまず枯れました。そして9月まで持っていた白のチェリーセージも、ついに葉が枯れてチリチリになる。ごめんな。
なにかケイヨーD2で新しいのを探すか・・と奥さんと話をしていた10月。めっきり涼しくなりました。で、ふとみると、木化したチェリーセージの細い枝にシミみたいな緑が付いている。まさか・・と思っていると、数本の細枝はすこし緑がかってきている。それから数日、はい。あきらかに緑の葉です。それも数カ所。
植物って、強い。再生。これだけいじめられても生き残る。えらい。
朝のコーヒー準備の最中、ついアホなことしてしてしまって火傷。左の薬指です。指の腹を1センチ強くらいの範囲でベタリ。あらら、やっちゃった。
とりえあえず洗い場の水道栓をひねって冷やす。10秒くらい続けると少し痛みがおさまりました。でもずーっと水に当てているわけにもいかないです。
厚手のコップに3分の1くらい水を入れ、氷を2~3コ、放り込む。ジンジンする指を入れる。肝心の薬指だけ浸けておいて、親指と小指でコップをぶらさげ保持する。けっこう安定しています。この状態を保ったまま、右手でコーヒーを入れます。時間がたつと指が冷えて痛くなるので、数秒引き上げます。で、氷を足して、またつっこむ。
指をつっこんだまま朝食。新聞を読む。メールをチェックする。ときどきぬるくなった水をとりかえる。
大丈夫かな・・と少し心配でしたが、成功したようです。ほとんど痛みなし。その後も日に1~2回は色の変わった患部にハンドクリームをごく薄く塗る。ま、傷つけず乾燥させないのがコツみたいなので。
10日ほど経過して、乾いた皮が剥けてきました。剥がれたあとにはきれいな皮膚が誕生。火傷はとにかく冷やす。できれば流水。難しいようなら氷水でもいいでしょう。ただしあんまり無理はしないように。冷えて痛くなったら、てきとうに。この方法で、少なくとも最近、二回は成功しています。素人療法なのでとくに勧めはしませんが、一例として。
ささやかな祝い事で東京芝、豆腐料理の店へ。なんでわざわざ芝かは疑問ですが、ま、知る人ぞ知る有名店らしいです。とうふですけどね。
新宿で大江戸線に乗り換え。初体験です。待ち合わせがゴタついた結果、新宿駅の『南改札』と『新南改札』の位置関係をはじめて理解しました。ここに『甲州街道改札』もからんでくる。関係ないけど『東南改札』なんてのもある。あはは。
新宿でこうですから、もう渋谷なんててんから諦めてます。行ったら絶対に迷うだろうな。昔はハチ公口と地下鉄乗り場と、あとは東横線くらい知っていれば大丈夫だった。それに坂の名前か。駅をはさんで東急文化と東急プラザ・・・だったっけか。
それはともかく。大江戸線の赤羽橋(もちろん初)を降りて、東京タワーのほうへ少し坂をのぼると目的のとうふ屋です。で、そのとうふ料亭の前あたりが外国人観光客でごった返している。並んでいるのかな。こんなところで何してるんだろ。
後で調べて了解です。道路から駐車場へ降りる階段があり、その途中から見上げると、ちょうどその狭い画角に東京タワーがそびえているらしい。その絵が評判になった。物好きだなあ。
で、店の敷地は昔の芝ゴルフ練習場、プール、ボウリング場なんかの跡でしょうね。ひろい敷地いっぱいに東北から造り酒屋とか数寄屋造りなんかを移築。庭もえらく手がかかっています。お祝い事でしょうね、老若男女、家族客がいっぱい入っていました。これだけみると日本は豊かと錯覚してしまう。
乾杯のシャンパン一杯、ビール中瓶でけっこう酩酊。とうふとはいえ、けっこうお腹がいっぱいになります。
いやいやながら歯医者へ。(持ってこいと再三言われた欠けは、結局使ってもえらませんでした)
ま、奥の並んでいた2本が落ちたわけで、どうも根っこが使い物にならないらしい。抜きましょう!といわれて異存なし。ただ、それで終わりかと思ったら、ダメらしいですね。うん、やはり入れ歯をいれますか・・・とか。
ゲゲゲッ。入れ歯ですか。欠けててもいいんだけどなあ。とりあえず抗生物質を処方してもらって帰宅。今日も暑かったです。(レントゲンとるのが不手際あって、説明なくくわえさせられたプラ棒が折れたり、口の周辺が血まみれになったり。さんざん。やっぱり歯医者は嫌いだあ)
あらら、歯が落ちた。詰め物というか、クラウンというか。たぶん右上奥の第6歯。アイスクリーム食べていたら落ちた。
実は1カ月ちょっと前にもポロリと落ちていて。たぶん右上奥の第5歯。直さなくっちゃ・・と思いながらサボってました。で、その隣りまで落ちたわけで、計2枚。ちょっと按配悪いです。しかたない。クリニックに電話入れました。歯医者、嫌いなんだけどなあ。
※先日もふれた作家の中村文則。歯医者が大っきらいで、子供のころは徹底的には抵抗した。むりやりプラスチックの口開け器具(そんなのがある)はめられても、その状態でもツバはいて暴れた。歯医者が「ここまで嫌がる子も珍しい・・」と言ったとかどうとか。うん。気持ちはわかる。
NHKの総合がトランプ×ハリスの討論会を中継。
うーん、今回の同時通訳は珍しくかなりスムーズ(※)なんだけど(ふつうは何を言ってのかワケワカメ)その代わり本人の肉声がほとんど消えている。
特にトランプなんか、内容もさることながら口調とか音量なんかが重要なんだけどなあ。あのダミ声や芝居がかったささやき声を、女性通訳のきれいな声で伝えられても、そりゃ違います。そんな上品な雰囲気じゃないんだけど。
しかたない。諦めました。残念。(同時中継にこだわらないで、たとえば30分遅れでもいいです。肉声がきちんと聞こえて、ザッとした日本語字幕を出してもらえれば十分。でも、NHKは納得しないだろうなあ。なぜか『同時中継』にこだわる)
※「スムーズ」を訂正。あとでキッチンへ行く途中で少し見たときは、あんまり聞きやすい通訳ではなかったです。上手な人も、それほどでもない人も、いる。
河出書房新社★★★
中村文則の対談集。厚いです。えーと、444ページありました。重いです。
中身は「映画・音楽」「文学」「社会問題・テクノロジー」に分けられていて、「文学」はⅠ部とⅡ部、ふたつもある(※)。ま、作家ですからね。「映画・音楽」は桃井かおりとか綾野剛とかいろいろ。綾野剛はかなり中村文則が好きらしい。
社会問題の章は、かなり力が入っています。中村文則という人、ストレートに発信する人ですね。グネグネした文学者臭さ、晦渋がない。ただしそれとは別で、本人はやたら「純文学」という言葉にこだわっていたりして。純文学なんて言葉、見たのは数十年ぶりです。新鮮でした。
社会・政治で印象に残ったのは、韓国へいったときのこととか。ずいぶん大統領が逮捕されるんですねと向こうで聞いたら、はい民主化を経験してますから。キャンドルデモにも参加するんですかと聞くと「はい」ではなく「もちろん」という答えが返ってくる。そうか、彼らは民主化運動で軍政を倒した経験がある。自信がある。その点、日本とは大きく違うなあ。日本は自分たちの手で政権を倒したという経験がありません。薩長が勝手にやった。アメリカが勝手にやった。自分たちはかかわっていない。
そうそう、幻冬舎から本を出すということがあり(周囲からはやめろというアドバイス)。百田尚樹の「日本国紀」が騒がしかったころです。で、幻冬舎に対しては言いたいことがあったので、出向いていって見城徹に面会。会談そのものは「建設的だった」ものの、中村にとって意外だったのは、見城に対して直接文句を言いにきた作家は自分だけだったらしい...ということ、だそうです。
面白かった話。中高がいっしょだった漫画家(女性)がいるんですね。その漫画家が発見したというんですが、芥川龍之介、晩年に近づくにつれて文章に三点リーダーで増えてくる。「...」です。なるほど、すごい。新発見。
関係ないですが、中村文則、高校時代はこの女の子をふくめて、みーんな嫌いだった。そういう暗い少年。
※最後のほうでロシア文学の亀山郁夫との対談が5章続きます。これは読めませんでした。嫌いじゃないけど、うーん、よほどエネルギーがないとドストエフスキー論はつらいです。好きだった時期もあるんだけどなあ。パス。