慶喜の謹慎。官軍の東進、勝海舟と西郷の会談、大鳥圭介らの脱走。彰義隊などなど。さすがに大仏さんで、近藤勇の「故郷に錦のどんちゃん騒ぎ&甲府進軍の失敗&斬首」の件などは、しごくアッサリ片づけられている。近藤の首が「火酒につけて京へ送られた」というのがちょっと面白かった。
前々から不思議に思っていた新政府の攘夷→開港という信じられないような大転換。そもそも攘夷の勅を守らないことを理由に幕府をねちねち責めていたんだから、守旧の公家連はもちろん大反発だったはずだが、バタバタとほんの数週の間に決まってしまったことのようだ。なんせパークスたち夷狄を神聖なる京都に入れて、なんと天皇に会わせてしまうのだから凄い。人間ってこんなにコロリと固定観念をひっくり返せるのものなんだろうか。
回転の軸になったのはやはり岩倉。慶応三年の暮れから明治にかけての大改革はほとんどがこの岩倉具視と大久保一蔵が人間とも思えないバイタリティと粘り強さ、強引さでやりとげたような印象が残る。
昔からタイムマシン仮説の中で、時代のキーパーソンを暗殺したらどうなるかというテーマがある。少なくともこの激変の数カ月に関しては、大久保と岩倉という二枚看板抜きでは成立しえなかったような気がしてきた。