早春の兆し

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晴れ後雨

義姉の一周忌で横浜へ。曹洞宗のけっこう大きな寺の本堂に木の椅子を並べてあり、腰掛けて経を聞く。大きなストーブが燃えてはいたが、それでも冷えた。

「お骨はここに預かっているので、気がむいたらいつでも遠慮なく来てお参りしてください。以前は本堂の正面は開放しておいたのだが、近頃は不心得な者がいるようで仕方なく鍵をかけている。申し訳ないが横に回って声をかけてくれれば、すぐ開けます」と住職。

前は寺などに侵入する者はいなかったんでけすけどね、とのこと。

法事の後、近くのホテルで会食。久しぶりに会う兄弟たちは、どんどん歳をとっていく。もちろん、私もそう。甥や姪たちの消息。少し酒が入ると、子供の頃の話や田舎の思いで話に沸く。髪の質と量のこと。歯がいいとか悪いとか。幼い頃に食べた雑魚の醤油煮(雑魚ではなく、メダカと言っていた)の辛さ。

つい酒がすすみそうになるのを、途中から控える。長老たちから、法事に集まるのではなく、無目的に集まる兄弟親睦会を早期に組織しろと言いつかる。

暗くなってからホテルを出たら、しっかり雨が振っていた。妻は寒い々々と言っていたが、心なしか浅い春の兆しの感じられるような軟らかな雨だった。