「鴎外 歴史小説」 神澤秀太郎 

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文芸社 ★

his-ogai.jpg 「高瀬舟」「興津彌五右衛門の遺書」など鴎外の歴史ものの背景を探ろうという試み。かなり拘って、人物や事物を探求しようとしている。

ただ、読み終わって感じたのは、作者が決してプロではなく、やはり市井の研究者(高校の先生らしい)なんだなあということ。もちろん凄い量の資料を読んでいるし、各地を熱心に研究もしている。しかし読んでいて、何か物足りない。所々に素人臭さ(考え方にしろ、知識にしろ認識にしろ) が伺える。突っ込み方も単純に見える。

アマチュアとプロ作家や研究者にはこんなに違いがあるものか、とも思ったが、あるいは「怪しい部分はうまくトウカイし誤魔化すテクニック」を持っているのがプロというものなのかも知れない。(とうかい が変換されなかった・・)

ま、鴎外がどんな資料をタネ本にして小説を書いていたのかが分かるだけでも、読んだ価値はありました。子供のころに読んだ伝記小説にはちょっと載っていたかもしれないけど、乃木夫妻の自決の詳細状況なども、私にとってはほとんど初見。そうか、腹を切った後にいったん裾をたくしこんで、それから軍刀の柄を足に挟んで首を突いたのか・・。