イスラムに関してのまともな本を読んでみたかったという次第です。
単なる歴史書というだけでなく、産業構造やら貿易、税制、官制などなど、多角的に解説された包括的イスラム圏史です。難解な部分もけっこうありますが、それでもこの種の本としては読みやすいほうでしょうね。
それなりに面白かったものの、2000年のイスラム史をこんな本一冊だけで知ろうというのが甘い。あくまで一種の手引き書(にしては、とっつきにくいけど)として考えるべきでしょうね。
コーランの教えでは「偶像や人物画はいかんぞ」ということになってるらしいです。だからモスクはひたすら幾何学模様。しかし、現実にはけっこう絵画も残っています(宮廷を描いたものやスルタンの肖像画など)。この矛盾は、どう考えるべきか? 答えはもちろん、そんなに厳格には守られていなかったということなんですね。いくら宗教で禁止されていたって、洋の東西を問わず、王様や貴族は自分の肖像を書かせるのが大好きなんです。