「図説ケルト文化誌」 バリー・カンリフ 

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原書房 ★★


bunkashi.jpgアーサー王伝説なんか読んだので、このへんにも興味を持ってしまった。ケルト人ってのはよく目にし、耳にする言葉でありながら、いまいち明快じゃない。要するに、よくは知らない。

なんだかんだと読んだ結果、理解できたのはガリア戦記なんかに登場する「ガリア人」やら「ゲルマン人」やら、すべてひっくるめて「ケルト人」と称しても間違いじゃないらしいということ。北西ヨーロッパで暮らしていた先住民族はみーんなケルト。人身御供をやったり、ドルイドがいたり。裸で戦ったり。

故にアーサー王ってのはブリテン島にいた先住のケルト系集団の王様(あるいは武将)。ケルト系ってのはどんどん圧迫されて、最後はウェールズ(たぶん)とかアイルランドにしか残らなくなってしまったらしい。

写真図版のいっぱい入った本だったけど、角付きの兜をかぶって縄帯一本、あとはスッポンポンで戦斧(多分。斧そのものは消失)を振りかざしている像、有名なものらしいが、実に躍動感がある。こういう野性的でおおらかで、ちょっとヌケた民族が、狡猾なローマに征服されてしまうってのは当然の成り行きなんだろうな。

ガリア征服の発端となったスイスあたりのガリアの一部族移動も、彼らとしては平和的な通り抜けのつもりだが、野心あふれる執政官(だったかな)カエザルにとっては絶好のチャンス。「ならずもの部族の移動だ!」てんで嫌がるのを無理やりやっつけて、それでカエサルの財布もふくらんだし、ローマ帝国も拡大できたし、西ヨーロッパも文化国家になれた。