「我は王軍 友は叛軍」 A.デュマ

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講談社文庫  ★★


鈴木力衛さんのダルタニアン物語、第3巻。ふと、この巻だけを再読。

20years.jpg三銃士は少年時代からの愛読書でした。三銃士に限らず、デュマの本は面白いですね。モンテクリスト(初読は黒岩涙香の岩窟王。これも超名作です)は少なくとも5~6回は通読しています。たぶん、10回くらいは読んだかもしれない。

ただ、少年時代に愛読した三銃士はダルタニアン物語では巻1と2。ミラディが死ぬまでの内容でした。アンヌドートリッシュの失われたダイヤモンドをめぐる陰謀と活劇ですね。これに比べると、続編の「二十年後」も家にあったものの、冒頭のマザランの部分が子供には馴染めなかった。なんとも暗く、魅力がない。面白くもない宰相だなーという印象で、ついに読みすすむことができなかった。

ですから「二十年後」を読んだのは数十年のブランクの後。たまたま子供がこれにハマって全巻そろえて買い揃えたので、借り出して読ませてもらいました。

少年の頃はまったく知らなかったマザランという人物についても今は多少の知識があります。フロンドの乱も、ま、多少は概念があります。全体にこの3巻の登場人物はみんな苦い味を抱えている。もう美しくはなくなったアンヌドートリッシュ。みんなに憎まれているマザラン。うだつの上がらないダルタニアン。決して幸せではないアラミス、ポルトス。騒乱のパリ。陰謀。暗い色調のストーリーです。