「エクスカリバーの宝剣」 バーナード・コーンウェル

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原書房 ★★


arthur1.jpg子供騙しかと思ったが、意外に良かった。コーンウェルの「小説・アーサー王」全3部作の第1部。

サトクリフの「落日の剣」よりは神話的でなく、つまりカッコ付けが少なく、それが良いことなのか悪いことなのか。登場人物たちの生活ぶりなんぞはどちらも同じようなにリアル(悲惨)だが、なんせ5~6世紀のブリテンだからね、実際に悲惨だったんだろうなー。せいぜい60騎とか100騎とかの戦士たちが鍔迫り合いして狭い王国の覇権を争い、あるいは東部から潮のように攻め寄せてくるサクソン勢と激突する。

そうそう、この小説ではランスロットが仇役です。悪役というより、天使のように狡猾な美青年、という設定かな。コーンウォールのトリスタンなんかも顔を出しますが、特に高貴な騎士というふうでもない、普通の武将。そうそう、マーリンも登場します。

やたら出てくるドルイドたちが面白かったです。多くの小説に見られる神秘的な僧というより、ま、土俗的なシャーマンの扱いですな。クソや小便で髪を固めて、跳んだり跳ねたりツバを吐いたり入神したりして呪術を施す。どこの軍も従軍ドルイドなしでは戦えない。

ま、簡単に言うと、ローマ去りし後の超貧しくて、超情けないブリテンの島を舞台にした、おどろおどろしく、でも少しコミカルなストーリーですね。多分、続編を発見したら読むと思います。