副題は「ラフカディオ・ハーンの生涯 日本編」
ハーンの奥さん「セツ」についての疑問がはれました。いままで読んだ小泉八雲ものでは、どうもセツさんができすぎ。完全無欠すぎた。八雲も聖人君子みたいだし。
もちろん八雲の素晴らしさ、才能などを否定している本ではありません。ただ八雲には無限の優しさや感受性と同時に、ジャーナリストとしての計算高さもあった。また異常なほどの猜疑心もたっぷり持ち合わせていた。みんなが自分を裏切ろうとしている、陥れようとしている。「陰謀デス」というのが口癖だったそうです。
セツさんも、家計が豊かになってからは遊び歩くのが大好きになったらしい。貧しかった子供時代、初婚時代の反動でしょうね。八雲の晩年、念願の家を作るときには異常なまでに熱中して、毎日のように外出。夜10時11時に帰宅することもあったとか。ヒステリーの気味もあり、これが原因(?)で長男は母親を嫌ったともいう。というか、そもそも母親と性格が合わないパパッ子だったから母のヒステリーを許せなかったのかな。
そんな意味で、けっこう面白く通読しました。