「モンテ・クリスト伯」 アレクサンドル・デュマ

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講談社 ★★★


mtcrist.jpg新庄嘉章訳です。この本、確か小学4~5年の頃に黒岩涙香の「厳窟王」で読んで猛烈感動し、生涯の愛読書になったものです。「厳窟王」は忠実な翻訳というより翻案に近く、団友太郎とか段倉男爵とかが登場。モンテ・クリストは巌屋島伯爵だったかな。そのうち、中学の頃に新潮社の世界文学全集を家の破れ土蔵で発見して初めて正規版をよみました。ただ、黒岩涙香の重厚さ壮麗さには遠く及びませんでしたね。お露がメルセデスだなんて、なんと浮薄な名前・・とガッカリした記憶もあります。たぶん、この時の訳者は山内義雄さんです。

それからン十年。何回読んだかなー。少なくも10回。たぶん15~20回は読んでいます。で、今回また気まぐれをおこして通読しました。

今でも、それなりに面白いですねー。ただ年とともに、だんだん感激が希薄になってくるようです。メルセデスとかエデとか、以前は憧れの美女・美人だったのが、そうでもなくなってくる。印象が希薄で、デュマってのは女を描写するのが下手だなーなんて思うようになってしまう。最後の方でモンテ・クリストがエデのしなやかな腰を抱いて歩み去っていくシーンなんか、少年の頃は感動ものだったんですが。

で、大分以前から好感を持つようになったのが脇役のフランツという理知的なキャラクター。イタリア人のG*伯爵夫人というのも、読むたびに好きになってきました。不思議なものです。

追記
なんとなくネットを調べたらすごいサイトを発見しました。物語倶楽部。あの「厳窟王」のテキストがそのままHTMLになっている! まだ全編打ち終わってはいないようですが、でもすごい。コツコツと手打ちしてストックしたんでしょうね。これをもう一度読めるとは思いませんでした。ほんと、すごい人もいるものだなー。敬服。他にも興味ある古い本がうんとこさ載っています。

そうそう、このサイトで私の思い込み「巌屋島伯爵」は間違い。正しくは「厳窟島伯爵」であることが判明しました。そうだったのか・・。