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晴れ

女児をつれまわした警官がいたようです。数日前の新聞のトップ見出しになっていました。ただし制服を着てやったわけではなく、非番で私服のときの犯罪のようです。確かにとんでもない事件ではありますが、でも新聞の一面トップに掲載すべき重大事件なのかなー、と疑問に感じました。

相手が未成年者と知って遊ぶ裁判官もいます、痴漢行為で逮捕される教師もいます。同じように警官の中にも困った性癖の持ち主はある確率で必ずいるはずです。市民を保護すべき警察の仕事をしている人間なのに、病気(のようなものでしょう)を抑えきれずに犯罪をおかしてしまう。言語道断ではあります。でも、それはとてつもなく奇異な事件なのか。間違って職業に警官を選んでしまった、デキの悪い男の私生活での犯罪にすぎません。

個人としての犯罪と、制服の信頼を真っ向から裏切る犯罪では、そもそもの本質が違うような気がしてならないのです。刑事が暴力団と癒着して金品をもらったり、警官が女性容疑者を脅して肉体関係をもたせたり、そっちのほうがはるかに大問題なのではないか。看護師が理由もなく患者を殺したり(安楽死がからむとまた別問題ですが)という事件もそうですね。判事が被告と交際していたというような事件もありました。社会や個人がその職業・制服に期待する役割を完全に裏切る行為。この制服への全幅の信頼がゆらぐと社会の仕組みそのものが崩れてしまう。

小学校の講演で警官が子供に手錠をかけてみせたり、拳銃を持たせたりしたことも問題になっています。これはたぶん服務規定違反なのでしょう。純真な子供が悪い影響を受けるかもしれない。柔らかな心が傷つくかもしれない。ピストルを持つような少年になったらどうするんですか。手錠フェチになったり悪い興味を持ったら困るでしょう。だから、問題になった。制止した教師がいた。もちろん教師の判断は正しい。問題になれば警察側は「思慮が足りませんでした」と謝るしかない。

でもなー・・と思うわけです。そんなに子供を純粋培養してどうなるんだろ、という印象が残ります。たとえば仮に消防演習で子供好きの隊員が子供にも放水ホースをもたせてやる。興奮するでしょうね。私でさえやってみたい。でも、これも内規か消防法で禁じられているような気がします。飛行機のコックピットに子供を入れて見学させる。これは完全に禁止されているはずです。でも、実際にはときどきあるんじゃないかな。

どこぞの役所がポスターかなんかを作って、その内容が問題になってあわてて回収・謝罪というなことがよくあります。たいてい文章やイラストに差別的な要素があったというケースのようです。これも確かに思慮が足りないといえば足りないものが多い。

でもなー、とここでも思います。市役所あたりのちょっと意欲的な職員が、何かを思い立ってチラシとかポスターを作る。意欲的ということは、反面、ちょっと配慮が足りないということでもあります。100パーセント配慮したら、意欲的な作業なんてできるわけがない。100パーセント配慮の典型が政府官公庁の優秀なお役人たちです。あらゆる配慮をして作業するから、いつになっても進まない。金をかけてできあがったものは無味乾燥、どこからもクレームの出ないようなものになっている。少なくとも、クレーム受けても弁解できるような抜け道をうんとこさ作ってある。

もっといけないのは、怒りの市民からクレームを受けたとき、当事者は決して争わないということです。「当方にもこういう理があります」とは決して言わない。まず真っ先に謝罪しますね。とにかく謝ってしまえばいい。下手に理屈をつけると騒ぎが大きくなってしまう。とくに謝る理由がないという場合は「世間を騒がせて申し訳ない」と頭を下げます。

対決や論争を好まないニッポン人なんですかね。理ではなく情。文句をつけられたらまず謝る。できることなら土下座をするともっといい。アホをやった会社の首脳陣なんかの謝罪会見で、ときどき「土下座して謝れ」という罵声がマイクに入っていることがあります。で、不本意そうな首脳陣がしぶしぶ土下座をする。

いまだに「土下座をしろ」とわめく連中がいる。土下座をさせると気分がスッキリするんだろうか。あのシーンを見ると吐き気がします。ギャーッとわめいてその辺を走り回りたくなります。決してニッポンの未来は明るくない。暗いなー。そう、思いながら、また毎晩酒を飲んでいます。