晴れ
寒いなー。「寒の戻り」とタイトルは一応つけたけど、でも東京の寒さは「寒」というほどのものではないね。雪国・北国の本物の「寒」とはレベルが違うような気がする。
行きつけのラーメン屋のジイさんも「今日は寒いなー」と言っていた。その後で「満州の寒さに比べたらどうってことないけどな。体がヤワになった。昔はマイナス30度、40度でも平気だった」などと凄いことを言う。
兵隊で行ったのか開拓で行ったのかはよく知らない。たしか靴を作っていたと言ってたような記憶もある。ま、いずれにしても向こうで味を覚えた麺とか餃子なんかが今の生業になってしまったらしい。興がのると時々カタコトの中国語で何か言うこともある。若い頃に覚えたことは忘れないらしい。
このラーメン屋さんのオカミサンは海外旅行が趣味で、毎年のようにどこかへ行っているみたい。いつだったかは常連さんとイタリア旅行の話に沸いていた。女学校出と言われても不思議じゃないような雰囲気の人で、きっとキリッとしたワンピース(のような気がする)でも着て、真面目な顔して観光してくるんだろうな。
ジイさんとオカミサンの他に、もう若くはない中年の息子さんもいて、この無口な息子さんが厨房に入っている。帰るとき、厨房の中からガラス越しに軽く会釈をしてくれる。オカミサンは手があくとすぐ店の外に出て、後ろ手に組んでそのへんの景色を眺めていることが多い。ジイさんはたいてい空いたテーブルに座って、老眼鏡をかけて新聞を読んでいる。時々、記事について大きな声で講釈する。
だから何、ということでもないんだけど、ふと書いてみたくなった。