筑摩書房 ★★★
森まゆみというのは「谷中・根津・千駄木」という地域雑誌を出している人らしい。ただし私は未見。ただ、たしか森鴎外について書いていたのを読んで面白かった記憶がある。えーと、どこかに書いてたはずだな。ここだ。
ページ数の少ない本ですが、いいですね。読み終えるのがもったいない。内容は最晩年の山田風太郎に森まゆみ(他)がインタビューしたもの。インタビューといってもほとんど編集が入っていないので、風々居士の息づかいが直に伝わるような内容になっている。順番に明治開花ものの作品について聞いていくんだけど、なんせ風々居士だから話が飛ぶこと飛ぶこと。飛んだのを聞き手がなんとか軌道修正しようとすると、またヒョイと飛ぶ。その飛び方がまたいい。
というわけなので、山田風太郎を知らない、あるいは読んだことがない人にとっては超難解な一冊でしょう。明治期の人物や出来事の知識のない人にとっても辛いだろうな。ある意味、ちょっとスノッブな本でもあります。
惜しい人をなくしました。といってもご本人はヘッと笑ってるかもしれないけど。