奥さんが気に入って借りてきた本をサラサラッと拾い読み。
いとうせいこうなる人物、よく知らない。顔はなんとなく知っているような気がする。オカッパ頭のあいつだろう、という程度。何やってる人なのかも知らない。
で、ベランダ園芸のお話。お洒落で本格的な「ガーデニング」とは違う。要するに狭いベランダで、誰でも知っているようなありきたりの花をイジイジと育てている。特別なことは何もしていない。育て方も私やあなたと大同小異。いい加減であったり、適当であったり、気が向くと世話をしすぎてみたり。
だから、いいんでしょうね。意外な花が咲く。大切にしている花が死ぬ。枯れかけたやつがしぶとく生き残る。濁った水の中で金魚がポカリと浮く。水草(名も知らぬ、ただの水草)はまがまがしく繁茂して水槽を占拠する。後悔するのはわかっているのに、またメダカを買ってしまう。独身(たぶん)男の、西日の当たる、マンション生活。
確かに日本版、現代版の「園芸12カ月」でしょう。カレル・チャペックの矮小版というか、現実版というか。哀しいけれど、なつかしいようなベランダーの1年です。