中村彰彦ってのは「いつの日か還る」とか「名君の碑」の人ですね。あまり上手ではない印象でしたが、今回はかなりひどい。
そもそも松平伊豆という人、私はあまりよく知らない。知恵伊豆と言われたとか、島原の乱で指揮をとったとか、大名潰しの原動力であった(たぶん)とか、ま、その程度です。
死ぬときに関係書類をぜんぶ焼却してしまったらしい。それで詳細がわからない。なんで焼却したかというと、秀忠とか家光とかから貰ったものも多く、あとでそのへんを誰かが利用したり誤解したりしちゃいかんから、というのが理由だそうです。たとえば長年官房長官をやってたような人が、死後に持ってる書類をすべて公開されたらそりゃ大騒ぎになる。おおっぴらに言えないようなことも多々あるでしょうし。
そういうわけで、あまり人物の材料がない。結果的にこの本、「チエ伊豆トンチ話集」になってしまいました。家光がワガママ言ったり、誰かが困ったりするとチエ伊豆があらわれて、サッと解決。みんな感心感嘆。一休さんみたいですね。
ひどい本でした。