文藝春秋 藤沢周平全集巻6 ★★★
このところ時間がとれず、本がすすまない。この間、吉村昭の「深海の使者」とかマーガレット アトウッドの「昏き目の暗殺者」も手がけてみたが、どれも読了まで至らなかった。「昏き目・・」は機会があったらまた挑戦の予定。
で、安易にまた藤沢周平。たまたま何かで「二天の窟」について書いてあるのを読んで、興味をひかれて借り出し。とりあえずこの一編と、もう一つ「玄鳥」を読む。どちらも士道もの、決闘ものですね。
二天はもちろん宮本武蔵です。武蔵の晩年ものは各作家がいろいろとりあげてますが、藤沢さんのこれなんかは秀作の方でしょうね。余韻が残ります。老いた武蔵が生涯初めて若い武芸者に遅れをとる。負けた!と自覚する。それで武蔵はどうするか・・。ま、そういう話です。
「玄鳥」も若い平凡な人妻の目を通して見た、冴えない武士のこと。強いけれども間抜け。おっちょこちょい。道場主である父も他の大人たちも見抜いていなかったその男のソコツさを子供たちはとっくに知っていた。これも味の残る佳作です。藤沢さん、やはり短編がいいですね。他にもたくさん収録されている短編集なので、これからチョコチョコ読むつもりです。