扶桑社 ★★
あまりにも有名な大部です。
内容に関しては、ま、だいたい想像できるレベルのもので、感動する人もいるでしょうし唾棄すべきものとして投げ出す人もいるでしょう。私の場合はけっこう興味をもって読み進み、でも前半3分の1くらいで挫折しました。面白くないことはないけど、でも飽きてくる。
それはともかく、この本の巻頭の口絵はいいですね。主として奈良平安のころの木彫を掲載したもので、これはいい。有名であるかどうか、重要文化財であるかどうかという観点からではなく(もちろん多少はあるでしょうが)、西尾幹ニという人が「自分の好きなもの」を集めた。いわば西尾の趣味的なギャラリーです。
こういう観点から集められたコレクションというか、写真集は一本筋が通っていてパワーがあります。けっこう趣味がいいじゃないの、とすら感じる。確かに日本には誇るべき文化があった、という点では西尾の主張をちょっと支持したくもなります。