「プレイ -獲物-」マイクル クライトン

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早川書房 ★★

 

prey.jpgプレイはPlayでもPrayでもなくて「Prey」ですね。英語は難しい。

今回のテーマは先端技術ナノテクノロジーです。ここに分散知能システムという訳のわからない代物を混ぜこんでサスペンス仕立てにすると、この上下本になる。

人体に注射された微細なゴミみたいなナノ・ロボットが血管内で大量に集まって、集団で一種の「目」を構成する。さすがにレンズはないので、これはピンホールの原理を使います。黒い紙に小さな穴をあけると、レンズみたいな働きをする、というやつです。

で、集約した情報を外部に伝えてくれれば、治療なんてカンタンカンタン。医師は神の目を持ったことになるでしょう。

というけっこう現実的な未来物語なんですが、小説ですからとうぜんナノ・ロボットは暴走します。あらかじめ組み込まれていた集団行動(アリとか鳥なんかの捕獲襲撃行動)プログラムが災いして、なぜか人間を襲っちゃう。それどころか、人間と共棲を選ぶ集団もいる。

バックグラウンドは興味深いのですが、ただストーリーはかなりご都合主義です。なんでナノ・ロボットが美人主任と仲よくなるのか、なんで人間の3次元コピーを作ろうとするのか等々、そのへんは不自然ですが、それを言ってはオシマイ。

人工知能とか集団行動理論の話が一見専門風なものの、それさえ我慢できれば楽しめる本でしょう。最後の方は少しあきれましたが、ま、面白かったです。