光文社 ★★
副題は「第二次大戦最大の捕虜救出作戦」です。大戦末期、ルソン島の捕虜収容所に米軍レンジャー部隊が突入し、バターン行進生き残りの兵士たちを救出、という内容です。そんなことがあったんですね
ただ、よくあるレンジャー映画みたいな展開を想像するとガッカリするかもしれません。もちろん日本軍はアホみたいに描かれていますが、米軍捕虜も決して勇者ではない。ヒーロー役のレンジャー部隊も実はほとんど実戦初舞台みたいな連中で、そんなに凛々しくはありません。
さほど計画性もなかったし、超ラッキーに恵まれたみたいですが、まぁ何であれ結果的に数百人のレンジャーが突入し、ボケーッとしていた駐屯兵士たちを簡単に蹴散らして数百人の捕虜を救出し、用意してあった数十台の牛車に病人をのっけてギッチラオッチラと逃走した。協力するフィリピンゲリラたちは、ほんの1キロ先にキャンプを張っていた1000人の日本正規軍をバッタバッタと壊滅させた。
アホらしいような展開です。でも現実ってのは、案外こんなものなんでしょうね。
著者は米軍に対しても日本軍に対しても、わりあい公平な視点を維持しようとしています。それだけに読み終えると虚しさが残ります。ヒロイックな戦争なんて、ない。ひたすら愚劣です。