「トルコ 近現代史」新井政美

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みすず書房 ★

 

turk-modern.jpgケマル・アタチュルクという人物に以前から関心があり、いったいどういう人でどういう功績の人だったのか知りたいと思っていました。筑摩あたりに本があるようなのですが、なかなか手に入らない。図書館にもない。

で、ふと思いついて総括的ながらトルコ史を拾い読み。

なるほどねー。EU諸国がトルコの加盟を嫌がっているのが、なんとなく理解できる。EU諸国にとってトルコという国は、あくまで非西欧、非キリスト教国、非民主的国家。ま、そういう印象なのでしょう。

強大なオスマン帝国が列強にボロボロ蚕食され、(オスマン側からすれば)無理難題を常に押しつけられ、自主的に(もちろん暴力的に)国内問題や民族問題を解決すれば「暴虐な専制国家」と非難される。やってられない!という感覚でしょう。でも民主国家の仲間入りをしないと生きていけない。で、NATOにも加盟し必死に西欧に目を向けていると周辺のアラブ諸国からは裏切り者あつかいされる。辛いことです。

同じような頃に近代化を目指した日本はなんとか成功したけど、オスマンの場合は非常に苦労した。やはり地勢的な要素がいちばん大きかったんでしょう。そういう超複雑な近代化の道を、超ワンマン、超豪腕で押し進めてしまったのがムスタファ・ケマルという人物。大久保利通とスターリンを一緒にしたような人だったのかな、という印象でした。