講談社文庫 ★★★
ニューヨークは5番街に面して、聖パトリック大聖堂というカテドラルがあるそうですね。ビルの谷間なので小さそうに見えるけど、実はかなり大きい。塔の高さも100メートルくらいあるようです。
で、3月17日が「聖パトリックの日」。この日はアイルランド系市民の大パレードがあるんだそうです。かなりの大騒ぎになるらしい。そんな日を選んでIRA過激分派が大聖堂で人質立てこもり作戦を実行したらどうなるか。ま、そういうお話です。
北アイルランド紛争の詳細はわからないです。単純な宗教対立なんかではないようで、実にややこしい。それはともかくとして、血の気が多くて詩人気質のアイルランド野郎とアイルランド女たちが武器を持って籠城し、聖堂を爆破すると恐喝。対するニューヨーク市警も、ま、普通はアイルランド系ですわな。最初から最後までアイルランド尽くし。
別件。読み終えて考えたのですが、ニューヨークの聖パトリック大聖堂の位置づけを持つ建築物って、東京だったら何でしょう。うーん、これが思い当たらない。たとえば東京駅が爆破されるからって、多くの市民は痛痒を感じるでしょうか。お茶の水のニコライ堂? 知らない人のほうが多いか。浅草寺? なくなったら悲しいでしょうが、だからといって国際的な事件になるとも思えない。
東京に限らず全国区でも、国民の多くが強いシンパシーを持つ建物って思い当たらないです。東照宮? 金閣寺? 伊勢神宮? 富士山だったらさすがにみんな関心を持つかな。富士山を爆破するぞ!とテロリストが脅かしてくる。この程度までいかないと現実味がないですね。