集英社 ★
正式なタイトルは「アレクサンドロス大王 その戦略と戦術」かな。アレクサンドロスがなぜ強かったのかに興味があったため借り出し。
ちょっと失敗でした。どっちかというと「徳川家康に学ぶ経営戦略」みたいな性質の本であり、アレクサンドロス戦略戦術をテーマにしたものじゃなかった。著者はインド系の経営コンサルタントみたいな人です。インド(インダス周辺)の少年たちは大昔のアレクサンドロス侵攻とそれを撃破したインドの王侯(名前は忘れた)のお話をわくわくしながら聞いて育ったもののようです。
それはともかく。詳しくは書いていませんが、どうもアレクサンドロスというのは、歴史上初めて「戦略」とか「戦術」を持って戦ったと将軍(王)だったようですね。とにかく人数を集めて堂々と力押しする・・という単純な戦法ではなかった。近代の参謀本部が考えるような精密なプランとタイミングで戦ったらしい。
上記が真実かどうかは不明。でもなんとなく本当っぽい雰囲気はあります。
何かの小説で、織田信長の軍勢は「脱中世」の戦い方をした、と読んだ記憶があります。たとえば1000人と1000人が戦って、片方の軍勢の10人が死んで100人が怪我をした。負けた負けた!と片方は逃げて和睦を請う。で、その結果は領地の4分の1くらいを割譲。そろそろ農繁期にもなるので、勝利側は満足して引き上げる・・・・。
そういうスタイルが中世だったというのです。相手を徹底的に撃破はしない。徹底的にやるためには、勝利側にも多大な犠牲が必要です。計算すると割にあわない。少し痛めつけて、相手から譲歩を引き出すほうが賢いです。
常識的な戦いの手法を覆し、近代戦を確立したのが信長だった。非常識なスピードで戦う。非常識に相手を殺す。逆らった相手は根絶する。義理も人情も談合も容赦もない。ちょうど小泉総理ですね。いままでの自民党の融和的「常識」が通用しない。まさかそこまでは・・と楽観していたら、本当に、やる。だから古いタイプの戦争しか知らない武将たちは困惑し、うろたえ、あっというまに押しつぶされてしまった。その信長の近代合理方針を受け継いだのが秀吉ということになります。
ま、そういうことのようです。