東京創元社 ★★★
シャーマン・アレクシーという人は数少ないネイティブアメリカン作家のようです。昔ふうにいうとインディアンですわな。
なんといいますか、こういうハードな代物は久しぶりなんで、最初は戸惑いました。あ、ハードといっても文体は超やわらかいです。やわらかい・・というよりシュールと表現すべきかな。土俗的でシュールなロックンロール・ストーリー。何いってんだか不明ですね。
シャーマン・アレクシーという人、そもそもは詩人のようです。そう考えると納得。古いブルースの歌い手ロバート・ジョンスン(有名な人なのかな?)の魂がギターかかえて西海岸の居留地へあらわれる。意志あるギターが火花を散らして勝手に演奏する。
どうしようもないネイティブ3人組がバンドを組み、他の部族の姉妹も参加し、見すぼらしい居留地で大騒ぎをする。現実と精霊と現在と過去。すべてが混在しているのがこうした見捨てられたリザベーションなんでしょうね。悲しいおとぎ話でもあり、詩でもあります。読後感はよかったです。