文芸春秋 ★★
達者な文章だなーと思ったら、大昔に読んでなかなか良かった「もしも宮中晩餐会に招かれたら」の著者でした。皇室の大膳(料理人)をやっていた方です。
皇室の料理って、民間とは発想がまったく違うんですね。もったいないとか、惜しいとかいうことを考えない。大根切るにもニンジン切るにも、大きさや厚さなどなどアホみたいにきっちりやる。1ミリ違ってもいけない。不公平のないようにという意図なのか、それとも煮え方が完全に均一になるようにという考えなのか・・・。なぜかジャガイモなんかは完全な球形に切る。ゴロゴロと転がして転がりが曲がるとゴミバコに全部ポイ!になる。
また高貴な御方は原則として「出されたものはそのまま食べる」のだそうです。カシワ餅を葉に包んだまま出したら、そのまま食べてしまったそうで、これは不味かったらしい。こういう場合は葉を開いて、その上に餅を乗せておくべきだったんでしょうね。
給仕の女官も「聞かれない限りは助言はしない」のが基本で、アレレ!と思っても黙っている。「知っていて、あえてやっているかも知れないから」という発想のようです。
面白い本でした。