★ 講談社
要するに「不毛地帯」のモデルになった元参謀の話ですね。「転進」という便利な言葉を考えついた賢い人。それを書いたのは、よく知りませんが五島昇のブレーン(?)で、たまたま東急系ホテルで瀬島と隣に部屋をもらったとか、東急エージェンシー社長とかいうんですが、もちろん私は知りません。
書かれていることは真実なのかホラなのか、判断の手がかりなし。東条がミッドウェー惨敗の結果をずーっと知らなかった(海軍が隠蔽)とか、ほんとかなあ・・というエピソード満載です。それに近いことはそりゃあっただろうけど。
開戦前夜、ルーズベルトの親書をわざと遅配させたのも瀬島だそうです。雰囲気としてはわかりますが、当時の参謀(順列は下位)にそれだけの権限があったのか。上層部からの指令だったのか、うーん・・・というエピソード満載。
恩賜の軍刀組の超エリート参謀ですが、シベリア抑留絡みではいろいろ不明なことがあったとかなかったとか、従来から説はいろいろあります。なんせ言いたくないことは何も言わないまま死んだ人なので、真相は不明ですね。
そうした本筋とは別で面白かったのが「田中角栄は献金にキックバックしたから財界の評判がよかった」「中曽根はぜんぶ取り込んだので献金が減った」という話。本当か嘘かは知りませんが、面白い説です。なるほどねぇ。
そうそう、著者は勝海舟と坂本竜馬が大嫌いらしく、いろいろ書いてますが、そう新説はない。唯一面白かったのは「竜馬はようするにグラバーの手先として武器を薩摩や長州に売りさばいて稼いでいた」という説。なるほど。、前々から竜馬が何をやって食っていたのかに興味を持っていたので、これはうなづけました。豪商や松江の殿様からもらった資金だけでは不足するだろうなあと思っていたので。
著者は別ですが、なんか竜馬の活動資金について書かれた本もあるらしいですね。書評の斜め読みですが、どうも国元からもけっこう仕送りしてもらっていたらしい。なるほど。仕送りしてもらってるんなら、せっせと手紙を書いてるのもわかります。
本筋よりもエピソードのほうが面白い。こういう読み方は邪道なんでしょうね、たぶん。