★★ 草思社
学生時代、一般教養(略してパン教)の理系単位として地学をとったことがあります。担当の助教授がやたら休講が多くて、おまけに面白いという評判だったので。はい。化石時代の話です。
確かに休講だらけでした。おまけにこっちも適当に自主休講するので、講義に出席した記憶は1回しかない。実際には数日は行ったと思うのですが、あとは覚えてません。
助教授といっでも、髪を角刈りみたいに短くして真っ黒かつ精悍に日焼けして、おまけに長靴はいて教壇にのぼった。いつでも長靴はいてハンマーを腰にぶらさげて山の中を歩き回ってる人という噂でした。顔だけは知的な肉体労働者。なんせ地学のセンセですからね。
講義で聞いたのが古磁気 古地磁気の話です。すでにヴェーゲナーの大陸移動説はある程度知れ渡っていましたが、「南アメリカとアフリカの海岸をあわせるとピッタリ付く」という程度の少しキワモノ感覚で、プレートテクトニクスという言葉は普及していたかどうか。
で、その地学のセンセ、講義をサボっちゃ山の中へわけいってひたすら石を割っているらしい。割って調べると中の鉄分が、いわば小さな磁石のようになっている。見たことはないんですが、そうなんだそうです。
もちろん地球の磁極は移動します。しかしそれとは別にその石をふくんだ地層じたいが、どっちを向いていたか、どこで方向が変化したかも見当がつく。
なんか、西日本と東日本では磁気の方向が違うんだと言ってました。その分かれ目が、もちろん例のフォッサマグナ。要するに東日本は中央地溝帯を境にしてグググッと北にねじ曲げられたらしいです。
アホな文系学生にも面白い講義でした。
しかし今ではプレートテクトニクスどころか、プルームテクトニクスなんて言葉が主流なんですね。地球表面で表皮が移動するだけではなくて、もっと立体的にマントルの構造や噴出・沈降も含めて理屈がなりたっているらしい。
やれやれ。本の感想を書こうと思ってたのに、まったく違う話で行数を費やしてしまった。今回読んだのは「地球46億年全史」。脇道話や観光案内みたいな部分も多くて、けっこう読みやすい内容ではありましたが、それでも後半はだんだん飽きてきました。
たとえばグランドキャニオン。谷底におりるためにのったロバだかポニーだかの話はそれなりに味があるものの、でも基本的に著者の関心は道筋の地層や石ですからね。ナントカ層の下にカントカ層が続いて、その下にナントカ石の層があって・・・とえんえん。
それにしてもこの手の地層や構造の話、読むだけではなかなか理解できません。ナントカ構造体がひっくりかえって褶曲して反転してシーツ状になって・・・って、それ、三次元イメージ図をいれてほしい。バンゲアがゴンドワナでローラシアがどうたら・・も、なんとなく分かるようで、でもあいまい。その時、ニホンはどこにあったんだ? ん?
トシとると、この手の本を読むのが大変です。