★★ 講談社
この作家の本、初めて読みます。
うーん、最初は「ひどいなあ・・」という印象。文体が独特です。荒いというか、大胆というか、とにかくエネルギッシュ。
内容は、ま、悪を究めようとした宮本武蔵ということなんでしょうかね。文体もあいまって、ひたすら土臭く、どろどろしていて、おまけに展開される哲学のようなものが訳ワカメ状態。フシギな本でした。ちなみに登場人物、ほとんど標準語はしゃべりません。新潟弁か秋田弁か、あるいは関西弁か。
でも独特の力はあるので、最後まで読みました。図書館には何冊か並んでいましたが、また借りるかとい言われるとさて・・・。
「マーブル・アーチの風」 コニー・ウィリス
★★★ 早川書房
短編集。コニー・ウィリスですから気はきいている。定番のドタバタものもあるし、ラブコメディふうのものもある。タイトルになっている「マーブル・アーチの風」はちょっとシリアスです。
経済的にも余裕ができ、数十年ぶりにロンドンにやってきた夫婦。たぶん、老境にさしかかったあたりなんでしょうね。昔と違って買いたいものはたいてい買う力があるし、高価そうな前から3列目の中央座席だって予約できる。
しかし奥さんはどんなに探し求めてもあの食器を探せない。ハロッズにもない。他の店にもない。おまけに見たいショーの切符は手にはいらない。友達はどうも浮気をしているらしい。
亭主はさんざん乗りまくって好きだった地下鉄で、不思議な突風に見舞われる。何回も見舞われる。生臭く、心の冷えるような風です。
その風が何なのか・・がテーマ。ここで書いたら未読の人に怒られてしまいます。