★★★★ 新潮文庫
ずいぶん昔に買った本です。あらためて眺めると、汚いなあ。かびだらけ。
米国の鉱山会社の重役夫人たちが5人。アラフラ海の小さなリゾートに行って、そこでテロ騒ぎに遭遇してサバイバル・・・というストーリーです。アラフラ海って、たしかニューギニア(いまは違う地名かも)とオーストラリアの間あたりですよね。真珠かなんかが採れるんじゃなかったっけ。日本のダイバーたちが出稼ぎしたりの島々だったような。
で、女性作家ですから、女たちの夫はテロであっさり惨殺されます。あっけない。男なんて、そんなものよ。
それに比べると普段はナヨナヨしてたりファッションにしか関心がなかったり、フニャフニャしている女たちは実はたくましい。状況の変化に柔軟に対応して、ジャングルでサバイバル。ここに出てくる白人の船長というのもなかなかいい味を出していて、女どもに生き残りのテクニックをたたきこみます。内心はうんざり絶望気味なんですけどね、でも教え込むしかない。
ボロイカダを作るんですが、キャーとかアレーとか女どもが騒いでいるうちに事故がおきて、船長は死亡。男はすぐ死ぬんです。で、女たちはケンカをしたり意地悪したりしながらなんとか脱出をはかる。
大昔からの典型的な「悪夢のジャングル」で、うっかり果物食えば酷い下痢、ゴロリと寝れば虫に刺される。もちろん人食い人種はいるし、脱出船にはしつこいサメがつきまといます。さてさて運命はいかに。 惚れた女の救出に懸命なヒーロー(いるんです)は見事に成功するか・・・。
そうそう。テロ騒ぎの元凶、クーデターを起こしたラーキという大統領もいい味です。ずるくて凶悪で、女と金に目がない。部下は頭が悪くて無慈悲で、町のホテルの中国系女社長(大肥満)はたくましくてしぶとい。すべてが典型的なんで、安心して読めます。