「洋梨形の男」 ジョージ.R.R.マーティン

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★★★ 河出書房新社

短編集です。日本オリジナルの収録で、基本的にホラー系。表紙はどう見てもラムちゃんですね。

yonashi.jpgみんなけっこう面白かったんですが、物足りないものもある。マーティンは堂々たる「氷と炎の歌」だけじゃなく、こういう軽妙(なのかなあ)なストーリーもいっぱい書いているということですね。

記憶に残ったのは「思い出のメロディー」。内容は怪談ものですが、メロディーという女性がよござんした。才気煥発だったはずの若い女がどんどん人生の階段を転落して、昔の親友たちにも見捨てられて、そのかつての仲間たちも今では同情と嫌悪、もてあまして・・・というお話。

もう一つ、「成立しないヴァリエーション」。ヴァリエーションはチェスの変化手順です。こう打ったらこうなったかもしれない・・という展開。マーティンは学生時代、実際にチェスクラブ員だったらしいですね。大学対抗を組織したり、熱を入れていた。

チェスのことはよく知りませんが、かつての「能力あるのにまったく度胸のない部員、あいつが怖じ気づかなければチームは勝っていたのに・・」という思い込みが、実際にはどうだったのか。さんざんバカにされていたその部員がなぜか人生では大成功をおさめる。そういう設定にタイムトラベルを組みあわせて、けっこう楽しく読めました。

ま、結末が少し甘い感じもありますが、短編、中編の宿命でしょう。もっとシビアにするのなら大長編にしないと無理がある。

大長編、「氷と炎の歌」の次作、A Dance with Dragons、ようやく、ようやくハードカバーが7月に出るらしいです。いったい何年待たされたのか。それにしてもペーパーバックの発売はいつになるんだ! まだAmazon.com見ても予告が出ていない。