★★★★ 新潮文庫
何回目の再読でしょうか。えーと、3回目ということは多分ない。4回目になるんだろうか。それとも5回目。なんせ買ってからずいぶん月日がたちます。購入は昭和51年。35年も前なのか・・・。
前半部はいつものパターンで少しイライラします。小次郎の気の利かなさ。歯がゆい。従兄の貞盛にいいようにやられている。そのうちだんだん感情移入が始まる。後半もまたイライラします。新皇になってからですね。周囲に操られてしまう政治性のなさ。
以前の読後感と少し違ってきたのは、貞盛ですね。回数を重ねるごとに好きになってくる。ちょっくらズルい部分はあるけど、ま、この程度は必要だろ。悪意があるわけでもなし。勇気がないというわけでもなし。少し女好きで利口すぎただけ。調べてみたら反乱平定のあとは鎮守府将軍、従四位下。坂東平氏の総代格ですわな。
お姫様(貴子)はだんだん重みがなくなってきます。可哀相だけど、仕方なかったんだよな。回り合わせが悪かった。それに対して幼いころからつき従ってきた老女(名前は忘れた)には好感度が増してきます。類型的には描かない海音寺さんだから、キャラクターが立ってます (大河ドラマでは奈良岡朋子)。
藤原秀郷もそれほど魅力がなくなってきました。なくなってきても、それでもまだ魅力的な武将なんですけどね。これも調べてみたら従四位下、下野・武蔵の国司、鎮守府将軍。かなり勢力を誇ったようです。子供の頃は「ムカデ退治の俵藤太」として覚えていた人です。たしかツバつけて大ムカデを射ったんだよな。
生涯、まだ1回くらいは読むかもしれません。古びた文庫ですが、なるべく大切にしておきましょう。
それにしても大河ドラマの配役、貴子の吉永小百合、将門の加藤剛、そのほか女優陣もなかなかでしたが、貞盛だけがちょっと地味でしたね。えーと、誰だっけっか。山口 崇。いい俳優なんですけど、もう少し色気のある派手な人にやってほしかった。女がパッと見ただけで惚れてしまうような凛々しい俳優さん。そんなん、無理か。
追記
どうやら貞盛の子供が伊勢平氏の源流になったようです。そうだったのか。清盛は貞盛の系統だったのか・・・。