★★ ちくま文庫
サイトで書評を見て、つい買ってしまいました。
著者はなんか池田勇人の首席秘書官をやっていた人らしい。名前にはかすかな記憶があります。
池田が没したあとは東急の五島昇(たぶん)に拾われて、非公式に大平正芳のアドバイザーみたいなことをやっていた様子です。つまり自民党の内情をイヤというほど知っていた人。というより中で暗躍していたキーパーソンの一人なんでしょうね。
この本は三角大福の抗争あたりから始まり、最終的にロッキード裁判、中曽根康弘の総理就任前後までが描かれています。中曽根時代にはもう表舞台から身を引いて(引かざるをえなくて)新聞テレビを見て自分なりに分析してるだけですけど。
内容は、想像通り。みーんな大臣・総理になることしか考えていない。どうしたら政敵を蹴落として、自分が生き残れるかしか頭にない。嫉妬心のかたまり。力で脅すか、損得でうったえるか、言葉で騙すか。えげつない派閥と派閥の押し引きです。当然でしょ?というスタイルで、なまじきれいに飾っていないだけ面白い本、ともいえますね。そうそう。登場する新聞記者連中も、記者なのか政治家の走り使いなのか判然としません。政治記者あがりの秘書とか議員がたくさんいるのも納得です。