★★ 明石書店
古代から19世紀前半までのロシアの歴史
。ただし歴史本ではなくて、中学高校あたりで使用の教科書です。
したがって記述はあくまでロシア史観だし、単元の終わりには「なぜ大帝は貴族と対抗したのか。考えてみよう」なんていう設問もあります。教科書だからね。
ザーッと目を通しただけですが、いやー、ロシアの歴史って、ひたすら騒乱と戦争と膨張なんですね。スラブ族の小さなルーシー国家が強大なタタール(モンゴル帝国の一部)に制圧され、抑圧されながら少しずつ力を養う。そのうち大国スウェーデンと戦い、勝ったり負けたりしながらバルト海に進出。大国トルコとこれも勝ったり負けたりしたあげく黒海へ進出。コサックと戦い、農奴の反乱を押さえ込み、東シベリア、西シベリアへ進出。
そうやって版図を拡大し、貴族勢力と皇帝も融和したり戦ったり。だんだん力をつけ、やがて準西欧と認められるような大国になった。
こういう教科書を読んで育ったら、国家の成長・拡大は当然の方向性という感覚になるでしょうね。日本みたいに国家の版図が早い時期にほぼ確定してしまった島国とは少し違う。読みやすい本ではありませんでしたが、読んで良かったという一冊でした。だぶん下巻には手を出しません。