★★★ 文春文庫
気まぐれで本棚からひっぱりだして再読。ん、再々読くらいかな。
トム・クランシーものって、けっこう面白いんですが、でも掛け値なしの傑作ではない。ちょっと粗さが目立ちます。あるいは「面白くしてやろう」という作為というか。読者にはそれを楽しむ姿勢が求められる。
ストーリーはもちろんご存じでしょうが、ソ連の新型ミサイル原潜が行方不明。隠密攻撃をたくらんでいるのか、それとも亡命か。そこでCIAのライアン博士が超人的な推理と行動力で大活躍。大統領も提督もCIA長官も艦長たちも絵に描いたように協力して動き、そこに完璧なトリックが張りめぐらされ・・・。
人物の描き方とか行動はかなり陳腐だし、薄っぺらいところがあります。完全にB級ハリウッド映画ふう。でも潜水艦の動きとか海中での作戦行動なんかは非常に面白い。この詳細なオタク・テクノロジー部分がトム・クランシーの真骨頂ですね。
いま気がついたのですが、先に沈没するソ連潜水艦から生き残るのは料理人。あとになって行動するのも料理人。不思議に料理人が活躍(?)します。何故なんですかね。