★★★ キネマ旬報社
人の歴史とは、住んでいた家の歴史でもある。そういう意味でこの「どんな家に住んでいたか」を語ってもらう企画は大成功でしょうね。
週刊誌に連載していたもののようです。著者の斎藤明美という人、高峰秀子にべったりして「ママ」とか「お母さん」とか言ってた人で、そのうち養女にもなったらしい。なんか気味悪い、臭い女だなあという印象を持っていました。
ま、そういう悪印象とは別に、この本は面白かったです。文章うんぬんより、素材が圧倒的に面白い。通常のインタビューではなかなか出てこない本音というか、その芸能人の芯の部分が素で出てくる。昔住んでいたたとえば四畳半のアパート、間取りを説明し、トイレや台所の話をしているうちに、そのころの生の感情が噴出してくるんでしょうね。
だからでしょう。語り手が泣き始める光景がけっこう出てくる。
いい本でした。おしむらく読み返す時間がなかった。