★★★ 講談社
上下巻。ホームレスに転落した証券マンが、不思議なオーラをもつ巨体の男や、やさぐれ占い師に出会って、そこから教団をつくりあげるお話。
大昔、新興宗教はぜったいに儲かるなあと考えたこともありました。ただし、特殊な魅力のある教祖役の人間が絶対に必要。あとはうまく切り盛りして、上手に仕掛けをつくっていく裏方が必須。この二つがうまくかみ合えば、大儲けできるかもしれません。しかも欲張りすぎてもいけないし、欲がなくてもいけない。オカルトに走りすぎてもいけない。下手な会社経営より難しい。
教義そのものは何でもいいんです。「朝起きたら挨拶する」「太陽に柏手を打つ」「人には優しく、親切に」などなど。
運営がなかなか難しいから、現実には成功例が少ないんでしょうね。
ということで、ある有能な事務方が信仰宗教を組織する。けっこううまく行くんですが、でも大規模になってくるとお決まりの内輪もめが始まって、いろいろあって、あれれれれ?というパターン。
荻原浩という人、デティールをしっかり書いてくれるので、ストーリーに溶け込めます。この本も半分くらいは悲惨なホームレスの日々の詳細な描写。とても楽しい本でした。