「白人の歴史」 ネル・アーヴィン ペインター

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★ 東洋書林

hakujinno.jpg人種とは何か?という厚い一冊です。こう書くと当然のことながら「白人×黒人」という想像がされますが、著者の主張はそうじゃない。

そもそも米国人が問題にしてきた「人種」とは、たとえばアングロサクソン×アイリッシュであったり、ドイツ系であったり。あるいはロンドン市民×下町コックニー、北欧人×スラブ人、中欧人、南欧人、ユダヤ人であった。

黒人系とかアジア系はそもそも論議の外。論議すべき「人間」でもなかったんでしょうね。

あるいはニューイングランド人×南部人、ゲンタッキーの山男たち、深南部の貧困白人。こういう「人種」が上流エリート層にとって大問題の「劣悪人種」だった。そもそも歴史的にいっても「奴隷」は肌色の白いのが多かった。もちろん黒い奴隷もいたでしょうけど、肌色は根本的な問題ではなかった。

てなことを延々と書きつらねてあります。正直いって、読み通すのはなかなか大変でした。次から次へと同じような「論客」が躍り出て、彼らなりには誠心誠意「純血白人の優越」を実証しようとした、そんな歴史です。

ま、そういう本でした。