子供の本棚にあるのは大昔から知ってましたが、ふと思いついて手にとりました。
光瀬龍の小説はずいぶん大昔に読んでいます。当時はかなりSFに耽溺していた。小説「百億の昼と千億の夜」は序盤の雰囲気最高なんですが、ナザレのイエスが登場したあたりからはだんだん通俗活劇ふうになってしまって、ようするに内容はワケわかめ。
で、マンガ。うーん、けっこういいんですね。でも文字による描写と絵の違いでしょうか、妙に具体的になって、わかりやすい分だけ理解不能の魅力が減衰した感じ。ま、面白かったけど評価としては★★でしょう。
あっ、内容ですか。説明は難しいですが、プラトンとシッタルダとアシュラ(ついでにイエス)が宇宙と人類の歴史の謎を追って時空を走り回る。ま、そんな超壮大かつ深遠、グチャグチャな哲学的スペースオペラです。
「日出処の天子」全7巻 山岸凉子
★★★ 白泉社文庫
ついでにこれも読んでみました。これもなかなか面白かったです。途中でなんか「陰陽師」に似ているなと思いましたが、もちろん作者は別人。あっちは岡野玲子ですか。ワトソン役の源博雅と蘇我毛人が最初のうちはなんか同じようなウジウジキャラで、それで勘違いしてしまった。
いい歳こいたオヤヂとしては、なかなか完全没入はできませんが、でも舞台とキャラの設定は非常にしっかりしている。続けて7巻、読み通しました。ここ数十年、煌めく才能は小説ではなく完全にマンガやアニメの世界に移行してしまったんだな。あらためてそんな気もしてきます。
主人公は厩戸皇子(うまやどのおうじ うまやどのみこ) 。つまり後の聖徳太子。スーパー天才といわれる人ですが、実際は超能力者、エスパーだった。ついでにいうと蘇我エミシもちょっぴり超能力の片鱗を持っていた(親戚ですから)。ただし本人は無自覚。エミシは有名な蘇我
この二人を軸にして、当時の政治情勢が複雑怪奇にからんでくる。おまけに女性マンガ家が大好きなBLも加わってくる。BLって何のこと?という人、グーグルで調べてみればわかります。へんなもんが最近はのしてきてるんです。オジサンにはわからん。
それはともかく、そこそこ楽しんで読みました。ただし少女マンガ特有の10頭身、12頭身ヒーロー(細すぎる。きゃしゃすぎる)と、同じ顔パターン(服装と髪形で見分けるしかない)、動きの感じられない、重心の定まらない動作デッサンだけはどうも好きになれません。