なにしろページ数が多いです。なので今回は分厚い上下の下巻のみ。第二次対戦の終わり頃から1990年付近までを扱っています。
ポール・ジョンソンってのは、やけに大声でしゃべりまくる剣呑なオヤヂみたいな人ですね。ただし理路整然、ガンコ一徹、すべからく明確かつ断定的。好悪はともかく一応話の筋は通ってるんで、好きになるか嫌いになるかは人それぞれ。
いわゆるタカ派ということになるんでしょうか。全体主義は大嫌いです。社会主義、共産主義も天敵。だからといって資本主義体制を全面的に是認しているわけでもない。スターリン、毛沢東、ルーズベルト、ガンジー、ネルー、みーんな好かん。第三世界の指導者はのきなみクソミソ扱いです。
そもそも「政治家」が嫌いなようです。とくに「プロ」の政治家が世界を悪くしていると信じている。好きなのは断固として行動するリアリスト。わりあい好意的に描かれているのはトルーマン、チャーチル、レーガン、サッチャーなどなど。
要するに「どうせ政治家なんだからロクなことはしない」「でもやる時は断固としてやれ」「始めたことは徹底しろ」「そのほうが被害も最小限になる」というような視点かな。中途半端な温情が破滅的な結果をもたらす。
なかなか面白かったったです。歴史書というより長い長い講演会みたいな感じ。訳が別宮貞徳さんということもあるんでしょうけど、読みやすい。ま、それでも飛ばし読みでしたが。こんな長い本、一字一句精読するなんて不可能です、ほんと。