『人類の足跡10万年全史』スティーヴン・オッペンハイマー

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★★ 草思社

jinrui10mannen.jpgちょっと前に読んだ「人類20万年 遙かなる旅路」。アリス・ロバーツという美人学者が書いたかなり通俗的な本でしたが、どうもこの人はスティーヴン・オッペンハイマーとかいう学者の影響が強いらしい。いわば弟子筋。で、その元祖オヤジ、オッペンハイマーの方も読んでみようということです。

内容的にはアリス・ロバーツとほとんど同じような主張でした。現生人類の先祖はアフリカからアラビア半島南端を通って出て行って、アジアへ。そしてそこから東南アジアやら、あるいはシベリア、アメリカ、ヨーロッパやらへ拡散した。成功した出アフリカは1回限りという説です。

美人版イモトみたいに世界実況報告ふう構成のロバーツ本とは違って、堂々たる論陣です。かなり柔らかいんですが、それでも最初から最後まで堂々と自説がいかに正しいかを表明している。強引そうな人です。権威なのかな。

懇切かつ論理的(たぶん)なので、比較的読みやすいんですが、なんせ最初から最後まで同じ調子で「これこれの説があるが妥当ではない」「ミトコンドリア系譜はこのように分岐した」「Y染色体からも同じことが言える」「これこれであると考えるのが妥当であろう」てな調子。

正直、飽きてきます。

わかったこと。
・成功した出アフリカはかなり最近のことである。(先行の脱出は失敗した)
・アフリカから直接ヨーロッパ半島へ移動した連中はいなかった。欧州人はクロマニヨンの子孫ではないし、多地域進化説は論外。
・当時の気候や地形の変動を考えることは非常に重要である。
・なぜか北米よりも南米の方に古い証拠が多く残っている。逆転。北米定住者はいったん死滅して、その後にアラスカあたりから再度移動した人々が拡散したらしい。
肌の色が白いとか黒いとか、そんなもん、あっというまに変化する。たいした問題ではない

てなことかな。日本とか韓国とか、あのあたりはけっこう人類の重要な通り道というか終点、吹き溜まりだったらしい。したがって日本列島に住んでるのはかなりのゴタマゼ雑種。

この本とは関係ないですが、子供の頃、もっともらしいアイヌ・コーカソイド説もあって信じてました。もちろんガセ。最近の研究では琉球人と本土和人とアイヌ、非常に近いらしいですね。