「世紀の名作はこうしてつくられた」エレン・F.ブラウン/ジョン・ワイリーJr

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★★ 一灯舎

sekainomeisakuwa.jpg予想していたようなマーガレット・ミッチェルの伝記ではなく、「風と共に去りぬ」の歴史です。

知ったこと。
・ニューヨークの編集者が原稿をトランクに詰めて奪うようにもって行き、列車の中で読んで大感動・・・という有名な通説はかなり疑わしい。

・ミッチェル側はもっとゆっくり手直しして完成したかったらしいがダメだった。

・まだ未完成に近い手書き原稿を、かなり無理して出版したらしい。出版社側にいろいろ都合があった模様。「出版してやるんだからグズグズ言うな」といった感じ。

・出版社からするとミッチェル夫妻はかなり困った原理主義。ミッチェルに言わせれば「契約どおりきちんとやってほしい」ということなんだけど。

・ことある毎にミッチェル側は口を出す。自由にしたい出版社とは衝突しっぱなし。

・ミッチェル側は版権関係には非常にうるさかった。言葉を変えれば、ナアナアを許せない超真面目な人たち

細かいズルも許せない性格なので、訴訟沙汰は数多くあった。訴訟をかかえこんだミッチェル側は疲れ果てた。

・ただし出版社サイドや映画プロデューサー側も、けっこうズルしていた雰囲気。版権料を誤魔化したり、勝手なイベントを計画したり。

・なんかで読んだ「レットのモデルはミッチェルの最初の夫」という説は、ミッチェル財団からは承認されていないらしい。

・日本での最初の刊行は、版権料なしの出版だった。当時の法律ではそれで問題なかった。お礼に日本人形を贈られたミッチェルはグチグチ厭味を言っている。

・ま、どうでもこうでもミッチェル夫婦や親戚、後継の財団は長期にわたって巨額の版権料を手にした。出版社や映画会社も大儲けした。