ふと思いついて鈴木力衛訳「ダルタニャン物語」の巻3「我は王軍、友は叛軍」を手にとってみました。対応する内容は「二十年後」の導入部分ですね。
久しぶりなのでけっこう新鮮に読み進みましたが、途中、アラミスが暮らす修道院の場面で、ロングヴィル公爵夫人が出てきます。最初に読んだころは知識がなかったんですが、歴史上超有名な美女です。なるほど。
で、その修道院を夜中に数人の暴漢が取り囲む。暴漢連中の親玉である貴人はたぶんマルシャック公。昔は「なんでこんな貴族が急に登場するんだ・・」と不審でしたが、つまり、あの「箴言集」で知られるラ・ロシュフーコー公爵の若い頃の名前だったんですね。知らんかった。
フランソワ・ド・ラ・ロシュフーコーという人は、何かの小説だか評伝だかを読んで非常に面白かった記憶があります。何という本だったかなあ。堀田善衛に「ラ・ロシュフーコー公爵傳説」というのがあるらしいけど、これだろうか。当時の大貴族と王権との微妙な関係が非常に興味深かったんです。
ま、大貴族ってのはたいてい王家と血縁だし、所詮は本家とか分家とか、たいして血筋に差はない。なんらかの事情しだいではその大貴族が王権を継承することもあるわけです。徳川時代なら御三家とか御家門になるんでしょうか。王権としても邪魔な大貴族をそう簡単に排除はできない。下手にやるとクーデタを起こされます。
で、ま、要するにロングヴィル公爵夫人ってのはマルシャック公の愛人だった。その愛人がなんか色男の坊さんと最近怪しいってんで、嫉妬にかられて密会を探りに出向いたというストーリーでした。なるほど。ようやく謎がとけた。
・・などなど、そこそこ面白かったんですが、途中でやめたのでまだ読み終えてません。下手に読み進むと続きが延々とあるんで大変。
追記。やはり堀田善衛の本でした。すっからかんに忘れてる。