今回は山形の最上義光の登場が多かったです。うん、何回見ても原田芳雄の奸悪演技は素晴らしい。こういう魅力ある悪役、最近の大河ではほんと払底してますね。
そうそう。勝新の秀吉もなかなか。ちょっと迫力がありすぎて従来の秀吉イメージからは遠いのですが、でも恐そうで我が儘で、なおかつ愛嬌もある。これもありという感じです。演技力なのか存在感なのか。
当主の代替わり決定が大きなテーマとなった回でしたが、当時の大名と家来の関係がよく理解できます。ほとんどの大名は「絶対君主」ではないんですね。兄弟親戚も多く、いわば一族寄り合い所帯の代表のようなもんです。とって替わろうという野心をもった連中も多いし、もし信頼を失って臣下にそっぽ向かれたら簡単に追い出される。
ただし信長だけは特殊な例外かな。ライバルになりそうな連中を次々と粛清し、うるさい重臣も片っ端から退けてカリスマ独裁政権を作り上げた。おまけに兵農完全分離ですか、専従の兵士部隊による画期的な機動性を確保した。それにはすごい費用が必要ですが、背景として財政の成功もあったんでしょうね。合理的かつ効率的なシステムを作り上げたのが信長。やっぱ天才です。
ただし、このシステムは常に独裁者が必要。完全ワントップ体制だったため、自分が死んでしまうと後が続かない。後継者を育てる時間の余裕がなかったし、肝心の長男信忠が単細胞であっさり自害してしまったし。
最後の数分あたりで幼い夫婦が変容して大人に、渡辺謙・桜田淳子になりました。これにて愛らしい(学芸会演技だけど)ゴクミとはおわかれ。