独眼竜政宗の再放送 第12回 輝宗無残

タイトルの通り、伊達輝宗が殺されます。

脚本がいいですねぇ。畠山義継が泣きついて伊達に降参してくるんですが、どっちかというと若い政宗が無茶を言っている。義継にすれば「謝ったら許してくれるのが常識でしょ」ということ。降伏条件として領地の半分は差し出すんだし、もちろん子供も証人にする。どうしてもと言うなら自分が腹かっさばいて責任とってもいい。そのくらいの自覚はある。

許してもらえるのが普通なんです、たぶん。あっちの味方、こっちに味方と変節を繰り返してきたのは中小領主の宿命。でも新感覚世代領主の政宗はそれを認めようとしない。頑なに拒否する。

ということで義継は追い詰められ、窮鼠猫。旧世代の常識人輝宗は無様な人質となり、二本松の手勢に囲まれて阿武隈川までひったてられる。このまま城まで連れていかれたら万事休す。

この場面、なんとなく火縄銃の一斉射撃で死んだのと思い込んでいましたが、このドラマでは義継が刺し殺しました。何回も何回も刺すのが、うーん、時代です。憎しみがあらわれている。殺された輝宗も急に静まり返ったBGMの中で遺言を残したりはしないで、あっさり死にます。

輝宗、享年42とか言っていました。そうか、北大路輝宗は妙にツクリが若いなあと思ってたけど、だいたい年齢に合っていたんだ。政宗は19ですか。こっちは少しふけてるけど、ま、そういう19歳もいる。

で、今回の敵役となった畠山(二本松)義継は享年34だそうです。こっちも実年齢は若い。どっちかというとまだ青年武将ですね。残された正室(市毛良枝)がキリッと若く見えるわけです。長男が12歳としたら、まだ奥さんも30前くらいなんでしょうね。

どうなんだろ?と少しは疑問でしたが、渡辺謙という役者さん、若いころから上手だったんだと知りました。あらためて認識しました。父が人質になったときの壊れかかった激怒の表情。噴出するエネルギー。ぼろぼろ溢れる涙とよだれ。最後のほうの寂しそうに肩を落とした横顔。やるせなさがたっぷり出ていました。

dokuganryu2014.jpg仮通夜かな、若い新世代の家来たちが気を張って起きているのに対して、いかりや長介・神山繁のお決まり老将コンビはもう体力が続かなくなっている。不本意だけど大きな火鉢にもたれて居眠り。立ち上がるのも難儀で、手を貸そうとするのをいったん払った老左月が、ちょっと思いなおしてまた友人の手を借りる。世代交代を予感させ、細かいけど、いいお芝居だったと思います。