高島俊男のシリーズ、別巻6。
この人の文章は非常に好きです。叙述が非常に論理的。明晰というんでしょうか。ただし親切すぎるくらい懇切に書くので、こんなに書き込んでいたら進めないだろうと心配するほど。
で、司馬の話は冒頭の数章だけです。儒教文化圏の仕組みとかなんとか、司馬さんのエッセイをとりあげて説明している。ま、たしかに儒教=贈り物文化=収賄文化。これが悪いかどうかというと、なんともいえない。そういう社会の仕組みがあったっていいじゃないか。
ちょっとおかしかったのは、日本においては儒教=儒家が力をもち得なかったということ。儒教儒家が本当に力をもっていたのは戦国とか春秋の時代であって、それ以降はどんどん形骸化している。尻つぼみ。
したがって日本の儒家なんてのは、大昔の外国の形骸の尻尾をあーだこうだ言って飯を食っている連中にすぎない。だから日本の社会システムに浸透することがなかったし、儒家がいくら偉そうにしていても大きな害をなすこともなかった。これにくらべると数は非常に少数だけど国学のほうはいろいろ影響を及ぼして始末が悪い。
で、例によって(筆を控えればいいのに)小学館の姿勢とか河出(新潮社だっかたかな)の翻訳とかを苛めている。これを続けるからお金に縁がないんでしょうね。読む方は面白いけど。
後半は珍しく中国の作家について詳しく書いています。たしかに中国において良心的な作家として生き続けるのは大変なんだろうなあ。