最近の大河なら、まず主人公は決して悪巧みなんかしませんね。一揆をこっそりけしかけたのは、たとえばイッセー叔父の独断ということにする。この独眼竜の嬉しいところは、政宗がかなりの策謀家でダークなことです。非常に困った奴なんだけど、なか憎めない。たとえばライバルの蒲生氏郷も、狭量で憎々しげな武将としては描かれてはいません。どっちかというと正義の人だけど、運が悪かった。たまたま酷い奴といっしょに戦いをする羽目になった。
その氏郷が厳寒の陣屋で寒さに震えている。面白かったです。たしかに東北へ初遠征の蒲生勢、寒さに震えたでしょう。こういうシーンは初じゃないでしょうか。なぜか暑くても寒くても武将はまったく変わりなく、平気の平三というのが通例です。今はそこまで緻密な脚本(演出)をする余裕がなくなっている。女衆もそうで、冬は着膨れ、夏は薄物のはずなのに、なぜか真夏も真冬も同じような衣裳を着てウロウロしてます。
石田三成(奥田瑛二)。ま、悪役設定ではありますが、そんなに悪でもない。そこそこの器量という雰囲気ですね。頭はキレただろうし、能力も非常にあったことは間違いないわけですから。
良いもんも、悪いもんも、それなりの人物として描くってのは大切です。ドラマに深みを与える。
何故その人物はそう思ったのか、彼なりの計算やら正義感やらで行動しているはずです。かなり三枚目的な存在で、一揆に追われてしまった木村親子にしても、けっこう時間をつかって芝居させてもらっていますね。お人好しではあるが、完全な馬鹿でもない。ただ計算が甘いだけ。可哀相に。
そうそう。久しぶりに三春の宿老がメゴのところへ挨拶にきました。山形勲さんですか。枯れていて安心感がある。懐かしい。