今回は本人が悪巧みしたわけじゃないのに謀叛の疑いをかけられる。ま、ふだんの行いが行いですから、仕方ない。身から出た錆。
脚本が親切すぎない。痒いところをサッと触る程度にとどめてある。肝心な部分がサラリと出てくる。秀吉の「利休に言うな」というボケ老人台詞とか。伊達家の家来たちの必死の懇願にも謎めいた返事しかしない家康の狸ぶりとか。で、徳川屋敷の門前に立てられた奇妙な高札も、いったい誰が書いたものなのか。家康が書かせたようでもあり、違うようでもあり。
ま、それでいいじゃないですか、ということ。謎は謎。視聴者が考えて補ってください。実はシナリオ書いてるジェームズ三木だって知らなかったりして。
登場の福島正則、ま、恒例の単細胞・脳筋武将としての描かれ方ですが、これまでのいろんな大河の中ではいちばん恐そうでした。迫力あり。どういう人だったか実際はわかりませんが、少なくとも豪勇だったことは確かでしょう。どうも多くの大河では人のいいアホ扱いが多すぎます。そうそう。今回は一連の事件の黒幕らしい石田三成が画面に登場しないのも秀逸。間接的にしか語られていないので、かえって現実感がありました。
淀の方もけっこういいですね。特別に賢明でもなく、特に悪人でもなく、ごく普通の女性。おいぼれ亭主の世話を甲斐甲斐しくやっている。子供(秀頼)もノーマルで、謁見の最中も退屈そうに足を伸ばして遊んだり。
週に一回、この独眼竜を見るのは楽しみです。良質の大河ドラマ。「え?それはないだろ!」と腹を立てずにすむ。武将は武将らしく、妻女は妻女らしく。高級官僚は官僚らしく。この「らしく」って大切ですよね。
政宗の最後の台詞、「三成め、いつか煮え湯を呑ませてくれる・・・」。天下太平のためとか誤魔化してないのがいいです。ひたすら個人的な恨み。