予算をずいぶん節約していたことがわかります。燃える大坂城はナシ。戦闘シーンも局所的に集約して、片倉小十郎と大阪方の武将の取っ組み合いで持たせる。大軍勢の突進もなくて、陣幕囲いの中で少人数のお芝居。家康は即席とはいえ板敷きを組み上げて陣取っていましたね。
さて、娘婿の松平忠輝はあいかわらず出番がなくてヤキモキ怒り狂っている。真田広之、好演。それを押さえつける政宗。昔は忠輝そっくりだったんですけどね。政宗もダテに長生きしたわけではない。年の功です。ふと気がゆるんだのか計算づくか、なんかの具合で忠輝三代将軍も可能というブラックな政治展望も示してくれました。そんな可能性、少しはあったんでしょうか。
夏の陣が終わっても、麾下の大名たちに配る恩賞のアテがないのは確かです。この頃の秀頼の所領なんて、関ヶ原敗戦で蔵入地を減らされ、60万石とかその程度だったはず。その半分を徳川が取って残りを配るとしても、まったく雀の涙。不満が渦巻くでしょうね。当然ことながら、つぎに発生するのは目をつけた外様の取りつぶしに決まってます。なんだかんだ、混乱が予想され、うまく生き延びていれば忠輝の世が来るかも・・・・・しれない。
千姫がちょっと学芸会なのは、ま、ご愛嬌です。なにかと柳生がしゃしゃり出るのも奇妙ですが、ま、当時の流行りでしょう。その代わり淀の方が絶妙のお芝居をみせてくれています。この大河の淀、いいですね。へんに役を作らないで、ごく普通の女性、愚かな母親にしている。感情ゆたかに迫ったり脅したり怯えたり。秀頼との最後なんて、まるで浄瑠璃の道行きシーンです。樋口可南子って色っぽい女優さんだなあ。
いろいろ読むと、この夏の陣で、大阪方の死兵突撃に伊達軍はかなりひどい目にあったようですが、ま、そのへんは曖昧に。伊達軍、ひたすら奮戦したという形になっています。そうしないと格好がつかない。