マッチ擦る

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浅くなった眠りの中で、なぜか寺山修二の歌を考えていました。寝ているような寝ていないような、こんなときでもけっこう理屈のたった事を考えたりできるるんですね。不思議なことですが。

歌というのは例の超有名な「マッチ擦る・・・」です。「マッチ擦るつかのま」までは思い出せたけど、その続きは何だったっけ。「マッチ擦るつかのまの光に闇ふかし」では、なんか意味がおかしい。これだけでは海が出てこない。「マッチ擦るつかのまの光に海ふかし」ではもっと通らない。なんで海が深いんだ。

うーん・・・・。後半も字足らずで「身捨つる祖国はありや」だったか、それとも「身捨つるほどの祖国はありや」だったか。

起きて食事してから思い出して調べてみました。正しくは

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

です。そうか、「つかのまの海」ではなく「つかのま」で切れるんですね。てっきり青函連絡船のデッキかなんかと決め込んでいたけど、そうともは限らない。青森あたりの岸壁という可能性もあります。岸壁に立って、海を見ながらタバコを吸っている。

もう一つ、なんとなく戦争中で、もうすぐ徴兵かなんかの年代と思い込んでましたが、これも根拠なし。敗戦によって、シンプルだった信念がゆらいで悩む青年という可能性のほうが高い。

たかが短歌。人間って、要するに自分の解釈したいように読んで、勝手に納得してるんだなあと、あらためて思いました。