★ 講談社
「神の左手」「悪魔の右手」に続く完結編。前作も前々作も評価は「★」なのに、性懲りなくまた借りてしまった。もちろんこれも評価は★一つです。
変テコリンな本なんですよね。文体はなんというか、骨組みだけのシナリオとか脚本みたいなもの。登場人物たちは怒ったり嫉妬したり悪巧みしたり、いろいろするんですが、ただ「・・・で激怒した」と書かれるだけ。感情移入することが不可能。
どうも作者のポール・ホフマンという人、無慈悲な戦争とか作戦、狂信を叙述したいだけなのかもしれない。
えーと、これだけではナンなんで、一応は書きますか。主人公は殺人と戦いの天才少年。彼を殺そうとするのはイエズス会みたいな雰囲気の宗教軍団。舞台は中世ヨーロッパという雰囲気ですね。ここで壮大な作戦が展開され、勝利を得たかにみえたが・・・結末は?
後書きで著者が書いてるところによると、少年時代は実際にカトリック系の寄宿学校で苛められていたらしい。偽善的な教師たちに神への愛と奉仕をたたき込まれ、不味い飯を食べさせられ、ついでにさんざん殴られ、うんざりしていた。大学へ進学できて環境は一変。なんて自由なんだ・・・・と感激。
実はそうした過去の恨みを吐き出したかっただけかもしれない。そう邪推したくなります。
ほんと、評価や感想の難しい本です。ほんの少しだけ奇妙な魅力もあって最後まで読みましたが、再読するかと言われたら、もちろんNO!です。